首都圏や名古屋、関西方面から手軽に行ける夏のリゾート地が信州である。そこを走る観光列車から2つほど挙げておきたい。まずは、しなの鉄道を走る「ろくもん」。いわゆるグルメ列車である。軽井沢発が洋食、長野発が和食と往復でメニューが異なり、1両が、ドアを障子風に改装した料亭風個室で、浅間山を眺めながらの食事を楽しめる。3両のうち1両は、食事なしの車両で気楽な旅もできるのがよい。車両デザインは水戸岡氏で、九州に行かなくても、水戸岡ワールドに接することができるのが魅力だ。
海を眺められる路線もランクイン
もうひとつは「おいこっと」。「うさぎ追いし、かの山……」で有名な唱歌「故郷」ゆかりの地であるJR飯山線を走る観光列車だ。千曲川に沿って走る飯山線は、誰にとっても「故郷」を感じさせる、実にのどかな心休まる沿線だ。おばあちゃんの住む実家をイメージしたという車内。野沢菜のサービスなど、ぜいたくというよりは、素朴なおもてなしに心安らぐ。
夏だから、海を眺めながら観光列車の旅をしたいという人におススメなのが「みすゞ潮彩」(山陰本線ほか、新下関~仙崎)。薄幸の詩人金子みすゞにちなんだ列車で、彼女の生きた1920年頃をイメージしたデザインは意外にモダンだ。海を向いたソファー席。3度のビュースポット停車で、響灘の絶景がとことん味わえる。車内での紙芝居や金子みすゞの詩歌の一節を書いたホームの標示板が印象的だ。
海の絶景を楽しむ列車といえば、前回の「海を臨む日本の車窓ベスト10」で紹介した五能線の「リゾートしらかみ」、羽越本線「きらきらうえつ」も挙げたいのだが、「またしても」という感じなので、今回はランクから外し、伊豆急の「リゾート21」を推しておこう。
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