日産、ホンダ陣営が「資本提携」に発展する可能性 EV連合に三菱自も合流「問われるスピード感」

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

とはいえ、提携はまだ出発点にすぎない。

5つの協業領域の中で唯一、契約締結という形まで至った車載ソフトでさえ基礎研究に1年をかけて量産化を検討する。両社とも2026~2027年の量産モデルはすでに開発を始めているため、どれだけ早くても実装は4~5年先になる。

残り4つの領域についてはまだ構想を並べただけの覚書の段階だ。比較的早期に効果を期待できそうな車両の相互補完でさえ、「どの車種をいつからという話は現時点でまだ決まっていない」(日産関係者)。

提携そのものの行方も不安要素が尽きない。

記者会見では両社のエンジニア2人がマイクを握り、「文化が違うというのは事実。だが、危機感の上においてそれは関係ない」と現場レベルでの協力姿勢をアピールした。だが、ある日産幹部は「まずは協業できる範囲を出した段階。開発については独自性もあるので、中身の議論がどうなるかはまだわからない」と本音を吐露する。

ホンダ内部から「うちがあげるばかりで、日産が何かくれるものはあるのか」といった声も聞こえる。ホンダ系部品メーカー幹部は「部品の共通化などは何も聞いていない。『総論賛成、各論反対』にならなければいいが」と懸念を示した。

日産の弱さがアキレス腱に

長年両社をウォッチしてきたアナリストは「現在の日産とホンダの力関係は対等ではなく、投資余力にも差がある」と指摘する。

とりわけ、提携のアキレス腱となりそうなのは日産の弱さだ。

日産は収益力の改善が急務。「技術の日産」の誇り高い技術者たちをホンダとの協調で意思統一できるか(撮影:尾形文繁)

カルロス・ゴーン氏の逮捕や経営統合を要求した筆頭株主であるフランス・ルノーとの争いで経営は混乱。販売台数は直近のピークである2017年度の577万台から2023年度に344万台まで4割も減少した。

足元の稼ぐ力にも大きな不安が出てきている。アメリカでの過大な販売計画がたたりインセンティブ(販売奨励金)が膨張。提携会見の1週間前に公表した日産の2024年4~6月期決算はわずか10億円の営業利益(前年同期比99%減)に沈んだ(関連記事、日産「99%減益」の真因、米国事業に2つの構造課題)。

時価総額でみれば、ホンダの7.6兆円に対して日産は1.6兆円と大きな開きがある。

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事