日産、ホンダ陣営が「資本提携」に発展する可能性 EV連合に三菱自も合流「問われるスピード感」

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ルノーとの関係をめぐり、潜在的な資金流出要因もある。

昨年11月に日産はルノーとの資本関係の見直しを行い、ルノーの日産に対する出資比率を43%から15%に引き下げ「対等な関係」となった。日産はその後、フランスの信託会社に移された28%分の自己株取得を続けており、これまで合計で約7.5%分をおよそ1800億円で取得している。残る20%強を取得しようとすればさらなるキャッシュアウトは避けられない。

日産はまた、ルノーが設立したEV会社「アンペア」に最大6億ユーロ(約930億円)を出資する契約を締結済み。当の日産関係者からも「それでなくても金がないのに、ホンダと対等の投資ができるわけがない」との声が上がる。

三菱自株を資金化か

今後の焦点となるのは、日産、ホンダ連合に新たに合流した三菱自の行方だ。

2016年に日産が三菱自に出資した際、日産と三菱グループ3社で10年保有の株主間契約を締結している。日産のキャッシュの流出が続けば、2026年の保有期限に向けて三菱自株を放出する選択肢が出てくるだろう。そのとき、提携交渉先であるホンダを軸にした資本再編に発展する可能性をはらむ。

ホンダの三部社長。2040年の脱エンジンに向けて、出遅れているEV戦略の強化を急ぐ(撮影:尾形文繁)

会見で資本提携への考え方を問われた、ホンダの三部社長は「現時点で資本関係という話はしておりません。ただ、可能性としては否定するものではない」と含みを持たせた。

日産の元首脳は、「ホンダと一緒に仕事をするなんて昔は想像もできなかった。せっかくリーダーシップのある三部さんが声をかけてくれたんだから日産も三菱自動車も乗ったほうがいい。内田さんはもっと自信を持って思い切って進めていくべきだ」と背中を押す。

テスラやBYDに負けているのは、「スピード感だ」と両首脳は語った。現時点では「戦略的パートナーシップの検討」にすぎない関係を、どこまで実効力のある関係に発展できるか。両首脳の覚悟が問われる。

秦 卓弥 東洋経済 記者

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はた たくや / Takuya Hata

流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年から再び『週刊東洋経済』編集部。24年から8年振りの記者職に復帰、現在は自動車・重工業界を担当。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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横山 隼也 東洋経済 記者

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よこやま じゅんや / Junya Yokoyama

報道部で、トヨタ自動車やホンダなど自動車業界を担当。地方紙などを経て、2020年9月に東洋経済新報社入社。好きなものは、サッカー、サウナ、ビール(大手もクラフトも)。1991年生まれ。

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