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「虎に翼」のモデル"三淵嘉子"人生支えた父の一言 知人は進路を話すとドン引き、家族の反応は?

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  • 真山 知幸 伝記作家、偉人研究家、芸術修士(MFA)
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NHKの連続テレビ小説『虎に翼』と同じく、大河ドラマ『光る君へ』も話題になっているが、主人公である紫式部もまた、宮仕えをした際には、漢学の知識が豊富であることを、周囲に悟られないように苦心したという(毎週日曜日更新の紫式部の連載:『紫式部と藤原道長が生きた平安時代』)。

「漢字の一すらも書かないようにした」と日記で振り返っている。嘉子にも式部のそんな気持ちがよくわかったのではないだろうか。

その一方で、そんな現状にどうしても納得できない、という思いも嘉子はつづっている。

「自分でも少し人と変わった途を選んだと思ってはいたが、何か日陰の道を歩いているような口惜しさを覚えずにはいられなかった」

「何か専門の仕事をもつための勉強をしなさい」

そんな嘉子の心を支えたのが、父の言葉だった。エリートだった貞雄は、男女は平等であるべきだという考えを持ち、娘の嘉子にこんな言葉をかけていた。

三淵嘉子が別荘として愛用していた「三淵邸・甘柑荘」(写真:Bachmann / PIXTA)

「ただ普通のお嫁さんになる女にはなるな、男と同じように政治でも、経済でも理解できるようになれ。それには何か専門の仕事をもつための勉強をしなさい」

嘉子はそんな父の言葉を受けて、自分の進路を決めたのだという。

「私は当時としては非常に民主的な思想を持った父のお陰で、そのアドバイスで法律を学ぼうと決心した」(「私の歩んだ裁判官の道」より)

教師や母に反対されたときも、助けになったのが父の後押しだったという。もっとも母については、娘の思いを聞いてからは、とことん応援することを決めたらしい。

嘉子は「ありがたいことに母はそれから後は私が弁護士になるまで、誰よりも熱心な応援者になってくれたのであるが」と、断り書きを書いている。

父と母の声援を受けながら、明治大学専門部女子部法科に進学した嘉子。入学して目の当たりにしたのが、女性初の弁護士を目指して、熱心に法律を学ぶ先輩の姿だった。

「私も法律を勉強するからには弁護士になろう」。嘉子はそう決心することとなった。

【参考文献】
三淵嘉子「私の歩んだ裁判官の道─女性法曹の先達として─」『女性法律家─拡大する新時代の活動分野─』(有斐閣)
三淵嘉子さんの追想文集刊行会編『追想のひと三淵嘉子』(三淵嘉子さん追想文集刊行会)
神野潔『三淵嘉子 先駆者であり続けた女性法曹の物語』(日本能率協会マネジメントセンター)
佐賀千惠美 ‎『三淵嘉子の生涯~人生を羽ばたいた“トラママ”』(内外出版社)
青山誠『三淵嘉子 日本法曹界に女性活躍の道を拓いた「トラママ」』 (角川文庫)
真山知幸、親野智可等 『天才を育てた親はどんな言葉をかけていたのか?』(サンマーク出版)

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