外国人従業員の増加で変化を迫られる企業の対応《組織・人を強くするCSR 第5回》
グローバルに人材を採用していくということは、異文化への理解、多様性の許容、そして推進する施策や企業風土変革が必要不可欠になってくる。これらはグローバル企業の人材面におけるCSR活動として今後より一層重要性を増してくると思われる。
国内で外国人社員を採用する場合、当然のことであるが日本語教育は、実務遂行上はもちろん日本文化や日本の商習慣を理解するうえでも極めて重要である。
配属部門によってある程度の差異はあるが、外国人を採用している各企業は、日本語検定を目標にした社内カリキュラムや日本語学校への通学プログラムなどを豊富に用意している。
また外国人社員が日本語を理解することで周囲の日本人とのスムーズな意思疎通が可能になり、相互の異文化理解などグローバル化をより早く推進することにもつながる。共にチームとして業務を遂行する中で、日本人社員の価値観や意識・行動が変わっていくことが期待できるだろう。
こうした外国人社員と日本人社員のプラスの相乗効果で真のグローバル化が達成される。採用した外国人社員をいかに組織に定着させモチベートしていくかということが、ダイバーシティ推進の第一歩ともいえる。
彼らが日本企業にうまく同化できるか否かの最初のハードルは言語面であることは間違いないが、一方で言語を越えた部分でのコミュニケーションギャップが大きいのも事実である。
外国人社員が退職する際の理由として多いのは、やはりここに起因する問題だ。
ある大手企業の外国人社員退職時ヒアリングでは、「職場が静かで冷たい印象」「日本人はあまり本心を語らないので、長期的な人間関係を築くのは難しく感じた」「評価があいまいで明確なフィードバックがない」などが挙がっている。