東大合格者が続出する一流校が海外にあった アジア中から優秀な留学生が殺到!
中でも、興味深いのが東大合格者の多さである。設立当初はたった一人だったのが、冒頭に書いたように2015年度は24人が合格した。世界の一流大学校に卒業生を大量に送り込むAICの強みとは一体何だろうか。
柴田氏によると、AICの最大の特徴は「世界トップレベルの大学への進学を目指したカリキュラム作りに力を入れているだけでなく、より高度な教育機関やグローバル社会の中でも活躍し、責任感のある地位を得られるような機会を提供している」ことにある。実際、生徒は学校から「視野を広く、目標を高く持ち、自身にとって最高の大学について考える」ように促される。
成績がいいだけでは目立てない
カリキュラムに関して言えば、AICは世界共通の大学入試につながる国際的な教育プログラム「国際バカロレア(IB)プログラム」を採用している。学校にはIBのカリキュラムを教えられる専門教員がおり、学校のあらゆる資源はこのカリキュラムを遂行するために費やされている。
柴田氏によると、AICではCritical Thinking(批判的思考)、Lateral Thinking(水平的思考)、リーダーシップを養う教育を重視。たとえば高校1年次に独立戦争後の米国について学んだ後、生徒を4人一組にし、「白人の新移民」「原住民の子ども」「奴隷」「米国大統領」を役割を与え、演じさせる。その際、それぞれの立場や価値観、文化的背景を確認した上で、自分の主観に基づいて演じ、そこから色々な議論を展開することが求められる。これにより、単に歴史的事実を学ぶだけではなく、「なぜ…だったのか」「どのように…だったのか」など、その理由や背景を考える癖がつくようになるわけだ。
一方、生徒の視点から言うと、AICは世界の一流校への進学を見据えた学校だった。
IBで満点(45点)を取ったフィリップ・チャンさんは、「周囲の生徒はみんな(世界)上位の大学への進学に非常に意欲的で熱心だった」と振り返る。また、東大PEAKの学生の一人、スアン・チュオン・チンさんは、「AICは、生徒それぞれの限界に実際に挑戦させるという点において特別な学校だ。一人一人が秀でていることを求められる環境の中にいると、人並みでいることができなくなる」と話す。
自分の経験を振り返って見ても、AICはとても競争が厳しい学校だった。生徒のほとんどが大きな目標を持ち、自発的。全員が賢いので「良い成績をとる」だけでは不十分で、授業にも積極的に参加することが求められた。
典型的なアジア人学生である私は、授業中ではなく授業後に質問する環境に慣れており、AICでの最初の学期に「努力評定」で悪い成績を取ってしまった。私が授業に関心を持っておらず、内容を理解していないと判断されたからだ。
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