長老から見て、安倍首相の何が問題なのか 藤井裕久氏、「岸氏の姿勢とは異質のものだ」

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藤井氏には安倍首相が歴史的事実を丁寧にくみ取ろうとする意思がないように見えてしまうようだ。

小泉純一郎元首相の後継として安倍首相が出馬した2006年の自民党総裁選では、1972年の日中国交正常化の際に周恩来氏が『中国はごく少数の軍国主義分子と日本国民を厳格に区別してきた』と発言したことについて尋ねられ、安倍首相は『文書として残っていない』として無視したことがありました。しかし当時の中国は文革の真っ最中で、そのような文言を公文書を残したら、命すら危なくなるという事情がありました。そのような中で周氏があえて出したメッセージを、どうしてきちんと受け止められなかったのでしょうか。

憲法が要請している手続きを経よ

安倍首相の手法に異議を述べるのは、決してイデオロギーが違うからではないと藤井氏は述べる。

私は集団的自衛権を明記した憲法に改正した上でいまのような安保法制をつくるのなら、それは認めてしかるべきだと思います。でもそれには、衆参両院の3分の2以上の発議と国民の過半数の賛成という憲法が要請している手続きを経なくてはいけません。それを一気にすっ飛ばし、十分な根拠もないまま解釈で行うなんてとんでもない。断固これに反対します。それが私がお仕えしてきた歴代の政治家に対する最後のご奉公だと思っていますし、戦後の日本を作ってきたひとりとして、未来へ繋がる日本国民のみなさんへの責任だと思っています。

藤井氏は同じ思いを抱く亀井静香氏や武村正義氏、山崎拓氏などとともに、日本記者クラブや外国特派員協会などで安保関連法案の危うさを訴えた。同法案が衆院本会議にかけられた16日には、衆院第一議員会館で記者会見を開いている。こうした長老たちの思いは、安倍首相に届くのだろうか。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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