五輪開催「日本の金メダル数」と株価の意外な関係 パリ五輪中の株価はどのように推移するのか

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さて、最後に取り上げる3つ目のジンクスは、「夏季五輪の年の相場は高い」というものです。さらに付け加えると、「冬季五輪の年は株価が低迷」とも言われます。実際に下表で確認してみましょう。

冬季五輪の年は、他の年に比べて日米共に、平均騰落率、勝率ともに良い数値とは言えません。一方、最も株価騰落率が高いのは、「冬季五輪の翌年」でした。これは、足元では昨年の2023年が当てはまりますが、確かに2023年は日米共に株価は堅調でした。そして注目の夏季五輪の年も冬季五輪の年と比べると堅調です。

夏季五輪の年の株価が高いということの背後には、夏季五輪需要などによる景気浮揚効果も背後にあるでしょう。ただ、このアノマリーの背後にはアメリカ大統領選の影響も大きいと言われます。夏季五輪の年は大統領選と重なり、冬季五輪は中間選挙の年となります。

中間選挙に向けて景気や株価は厳しい傾向になりやすい

アメリカ大統領の任期は4年間です。これまでの大統領は次のように考える傾向が多いようです。任期後で再選、あるいは自分の属する政党出身者が大統領選を勝ち取るため、やらなければならない痛みを伴う政策はなるべく早い段階で行います。そして任期後半に多くの国民が喜ぶ景気刺激策を打ち出して、大統領選のあたりで景気が好調になるようにコントロールするのです。

こうしたことから、任期前半の中間選挙に向けて、景気や株価は厳しい傾向になりやすく、大統領選の年にかけて株価は堅調になると推測されます。日本株もこうした米国株の影響を受けています。足元、大統領選は不透明感が強いものですが、株式市場は好調となるジンクスが見られます。

吉野 貴晶 マネックス証券チーフ・マーケット・アナリスト 兼 マネックス・ユニバーシティ 投資工学研究学長

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よしの たかあき / Takaaki Yoshino

金融情報誌「日経ヴェリタス」アナリストランキングのクオンツ部門で、記録的となる16年連続で1位を獲得した後、国内系運用会社で投資工学開発センター長を経て、現職。社会人として歩みを始めて以来、一貫してクオンツ計量分析、データサイエンス、AI(人工知能)を活用した証券市場の分析に携わる。大学共同利用機関法人 統計数理研究所のリスク解析戦略研究センターで客員教授を兼任。青山学院大学大学院国際マネジメント研究科(青山ビジネススクール)にて客員教授、学術フロンティア・センター特別研究員。経営戦略、企業評価とポートフォリオマネジメントの授業の教鞭も取る。博士(システムズ・マネジメント)。日本ファイナンス学会理事、日本金融・証券計量・工学学会(JAFEE)理事。2025年9月より現職。

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