JR九州の新列車は「ななつ星」より儲かるか

幻の「或る列車」がいよいよお目見え

デザインを担当した水戸岡氏

JR九州によれば、或る列車の製造費用は約6億円。2両編成なので、1両当たり3億円になる。これに対して、ななつ星の製造費用は30億円。機関車を合わせて8編成なので、1両当たりでは3.8億円という計算になる。

ただし、車両を新造したななつ星に対して、古い車両を購入して改造した或る列車では、そもそものベースが異なり、単純な比較はできない。青柳社長は或る列車の製造費用について「ななつ星とほぼ同じ」とも発言している。つまり、内装、外装などの新たに製造した部分については、ななつ星並みのコストをかけていると考えていいだろう。

ほかの観光列車とも比較してみると、水戸岡氏のデザインによるJR九州の人気観光列車「指宿のたまて箱」は既存車両からの改造であり、その費用は1両当たり1億円弱。同じく“水戸岡デザイン”である、しなの鉄道の観光列車「ろくもん」の改造費用は3両編成で1億円強。これらと比較すれば、或る列車のグレードの高さが金額面からも見て取れる。

水戸岡氏は「予算内に収めても、いい仕事はできない。予算を超えるところに人を感動させるゾーンがある」と言う。青柳社長は「おカネをかけることがよい仕事ではない」と言いつつも、水戸岡氏の仕事ぶりを20年以上にわたって見つめてきた。だからこそ「水戸岡さんはおカネの使い方を工夫し、努力しているので、われわれも安心して見ていられる」と理解を示す。

「或る列車」の採算はいかほど?

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「或る列車」で提供されるメニュー

或る列車の基本プラン料金は1人当たり2万円から。スイーツ、ドリンク代が含まれるとはいえ、JR九州のほかの観光列車よりも高額である。

同社の初期の観光列車、たとえば「いさぶろう」「しんぺい」(1996年運行開始)は、普通運賃に510円の座席指定券を取るだけ。その後登場した指宿のたまて箱や「海幸山幸」なども特急料金を徴収するだけだ。

もっとも、或る列車のデザイン上の比較対象となるななつ星の料金は、最低でも20万円台、最高130万円で、庶民にはおいそれと手が出せない。ななつ星の雰囲気をちょっとだけでも味わいたいという人には、2万円という金額は決して高くないだろう。

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