みきゃんも推進する「ひと味違う」地域の交通 地場企業と歩む愛媛の「交通のリ・デザイン」

✎ 1〜 ✎ 39 ✎ 40 ✎ 41 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

交通事業者のランニング費用は、ユーザーが支払った金額の決算手数料(2.0%程度)だ。そのほか、自治体向けにデジタル地域振興券の発券もできる。

今後については「みきゃんアプリ」プラットフォームを活用して、香川県、徳島県、高知県それぞれでアプリを立ち上げ、「四国エリア全体での交流人口の増加と地域の活性化を目指す」とのことだ。

「みきゃんアプリ」を通じて得られた移動や消費に関する各種データが解析されることで、交通政策の立案や検証の一助になると期待される。

「みきゃんアプリ」の広告が目立つ路面電車(筆者撮影)
「みきゃんアプリ」の広告が目立つ路面電車(筆者撮影)

課題も多いが期待は大きい

県としては、世界各地で活用されている公共交通に関するオープンスタンダードである、ゼネラル・トランジット・フィード・スペシフィケーション(GTFS)の活用も検討しているという。

GTFSによって、例えばダイヤ改正やコミュニティバスのルート変更などによる効果をシミュレーションできるため、大きなサポートになることが期待される。

一方で、県内の市町では、職員ひとりあたりの業務量や業務の幅に違いがあり、GTFSや自動運転・ライドシェアなどの新しい試みに対応する、人的・時間的な余裕がない場合もある。そのため、県としては各市町の職務の実情を踏まえたうえで、地域公共交通に関する情報提供を丁寧に行っていくという。

東洋経済オンライン「自動車最前線」は、自動車にまつわるホットなニュースをタイムリーに配信! 記事一覧はこちら

結果的に、市町、東予・中予・南予の3地区、愛媛県全域、そして四国エリア全体での地域公共交通のリ・デザインが進むことにつながるのだろう。とはいえ、根っこでは大きな課題がある。

地域公共交通を、社会福祉の観点でセーフティネットとして捉えるのか。また、県および市町での地域公共交通に対する財政負担の増加に、どう対処していくのか。愛媛県の地域公共交通に対する多様なチャレンジが、全国47都道府県の中でよきベンチマークとなることを期待したい。

この記事の画像を見る(9枚)
桃田 健史 ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事