こうした、県と基礎自治体との政策実施に向けた距離感の近さは、現在4期目の中村時広知事と、各首長との信頼関係が深いことも関係しているようだ。中村知事は当選前に、松山市長を3期務めている。
![今回、お話を聞いた愛媛県交通政策室の職員(写真:愛媛県)](https://tk.ismcdn.jp/mwimgs/b/b/570/img_bb3c375b41c929c2234b40c4a9e0c5d0437679.jpg)
中村知事県政はこれまで、直近の「愛媛県総合計画~未来につなぐ えひめチャレンジプラン~(2023~2026年度)」のほか、それに至る過程での「愛媛の未来づくりプラン〜アクションプログラム編(2011年度~)」の改変などを行ってきた。
さらに、2018年度には「愛媛県地域公共交通網形成計画」がいち早く策定されているが、その背景には、「愛媛県地域公共交通活性化指針(2012年4月策定、2020年3月改定)」「第六次愛媛県長期計画(2011年~2022年)」がある。
ネッツトヨタ瀬戸内がオンデマンド交通を
愛媛県の直近の取り組みを見ていると、こうした持続的なチャレンジを行ってきたことが結実し、「本当にいま行うべきこと」が各地域の住民、基礎自治体、交通事業者にとってわかりやすく具体化されていると思う。
![地方によくあるような風景だが、バス停には「自動運転バス」と書かれている(筆者撮影)](https://tk.ismcdn.jp/mwimgs/7/c/570/img_7c8e5d911ff055413dcca4434d5db283487106.jpg)
また、そうした県の施策と直接的な関係がないところでも、各地域が主導する新たな交通サービスが立ち上がっている。
一例として、カーディーラーの「ネッツトヨタ瀬戸内」が松山市で行っているオンデマンド交通について、少し触れておく。
基本システムは、トヨタグループ企業のアイシンが開発した「チョイソコ」。現在、久枝地区、石井地区(東部)、そして小野・久米地区で運行中だ。
トヨタネッツ瀬戸内がオペレーションセンターとなり、NPO法人「まるっとおのくめ」の旅行発注を受ける、または利用者から予約を受け付け、タクシー会社に運行依頼と予約伝達を行う仕組みだ。
運営費は、NPO法人「まるっとおのくめ」の事務局が、個々人の利用料金(月定額3500円)や地元の協力事業者から会費を集める形で、行政からの支援はない。
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