サンリオ「35才創業家社長」が成し遂げた大復活劇 就任4年で株価は6倍、"V字回復"を導いた舞台裏

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――ゲームでは自社パブリッシングも視野に自ら投資していく方針を掲げています。

ゲームは今後われわれがエンタメに出て行くなら絶対にやるべきだ。世界のゲーム人口はかなり大きい。今まではライセンス許諾の形でやってきて、それは今後も続けていくが、やはりどのような世界観やデザインで何を目指してやるのかということを自社でコントロールすることも大事。

ゲームは確実にヒットするとは言い切れない業界で、リスクがあることもわかっている。投資委員会にゲームの知見がある方々にも入っていただき、しっかり審査している。

ただ当社の場合、ゲームをリリースしてみて伸び率が悪ければ、商品を出してプロモーションをかけたり、新規IPできつかったらハローキティをはじめとする強いIPと組んだり、ということができる。これは、ほかのゲーム会社にはまずない特徴だ。

サンリオのキャラクターやサービスに触れ合ってくれる時間を「サンリオ時間」と呼んでいるが、基本的には入り口は寄り添い、そこから夢中になってもらうという流れだ。最初にどこから寄り添うかはお客さまの自由だと思うが、「ゲーム好きだからやってみようかな、サンリオめっちゃいいじゃん」と夢中になってもらえる可能性もある。

「時価総額1兆円くらいないとダメ」

――IPの作り込み方も変わってきますか。

ハローキティを含めて、われわれのキャラクターにはストーリー性はあまりない。人によって自分なりのハローキティがあって、妹やお姉ちゃん、お母さんだったり、自分の分身だと思っている方もいたりする。だからこそいろんなデザインができて、いろんな企業とコラボレーションできる。

それは今後も続けていくが、ストーリー型のIPは爆発力がある。ここ数年間はクロミが伸びているが、「鬼滅の刃」の初速にはかなわない。ゲーム発、アニメ発のIPにも取り組んで、短期、中期の山も作ることで全体のボラティリティを下げていきたい。

サンリオの辻朋邦社長
今後についてはグローバル展開を強化するほか、「エンタメに出て行くならゲームは絶対にやるべき」とも語った(撮影:今井康一)

――今後は「時価総額1兆円」を目指しています(7月12日現在、約8300億円)。

根幹にあるのは「みんななかよく」なんです。1人でも多くの人を笑顔にして「みんななかよく」の世界を実現するためには、会社を大きくして、より多くの人たちにアプローチをかけていかないといけない。どちらかというと「時価総額1兆円くらいないとだめだよね」という発想だ。

老若男女も、言語も貧富の差も関係なく、いろんなボーダーを取り払ってみんなを笑顔にしていくためには、エンターテインメントでその人に寄り添った時間を作り、「夢中時間」に変えていく。こうして「サンリオ時間」をいかに多く捻出していくかを考えていれば、おのずと時価総額1兆円も到達できると思うし、その先もあると思っている。

田中 理瑛 東洋経済 記者

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たなか りえ / Rie Tanaka

北海道生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。ゲーム・玩具、コンテンツ、コンサル業界を担当。以前の担当は工作機械・産業用ロボット、医療機器、食品など。趣味は東洋武術。

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