ヤマダ電機の「失敗」は必然だった 大量閉店に追い込まれた茨城を行く

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ケーズ超大型店との戦いに敗れ、閉鎖された牛久店。住民によると「車の通りが多い時間帯は駐車場に入りづらくて不便だった」

牛久店はケーズの超大型店に敗北

その土浦店から南に8kmほどの場所にあった「牛久店」(牛久市柏田町)も、5月末に店を閉じた。売り場面積は約3800平方メートルで、2007年2月にオープンした店だった。

牛久市内ではヤマダの出店から10カ月、ケーズが郊外に「ひたち野うしく店」をオープン。その売り場面積は7240平方メートルにも及び、一般的な家電量販店の2店分以上に相当する超大型店だ。

対するヤマダの牛久店は店前の道路が狭いうえ、牛久駅方面から来た車は対向車が途絶えるまで右折して駐車場に入れないなど、車でのアクセスも悪かった。こうした立地の問題もあり、牛久店は大苦戦を強いられた。土浦店と同様、閉店後のアフターサービスは近隣のつくば店に引き次いだ。

大量出店のツケ、需要縮小で赤字店相次ぐ

家電量販の巨人、ヤマダ電機。郊外型の「テックランド」、都市型店「LABI」のほか、傘下のベスト電器やマツヤデンキなどを含めて、グループ全体で国内に約1000店を展開し、売上高は1.6兆円台(2015年3月期)と、2位のビックカメラ(2014年8月期に8298億円)に約2倍の差をつける圧倒的な存在だ。

そのヤマダが今年5、6月のわずか2カ月間で57もの店を一挙に閉鎖し、大きな波紋を呼んだ。単純な移転や改装のための一時休業を除いても50近く、今年3月末の全店舗数(ヤマダ本体と九州の運営子会社分で計729店)の7%に相当する数だ。週刊東洋経済は7月25日号(21日発売)で『ヤマダ電機 落日の流通王』という特集を組み、その全容を追っている。

地デジ・エコポイント特需のあった2010年度をピークに家電流通市場は縮小が続き、ヤマダの業績も急激に悪化。これまでひたすら売り上げ拡大を追い求めて全国各地に大量の店を出し続けてきたため、市場の縮小で赤字に陥る店が相次ぎ、そうした不採算店の閉鎖が避けられなくなった。

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ケーズのすぐそばに出した桜川店も1年半で閉鎖。周囲は田んぼで、真新しい建物が営業期間の短さを物語る

中でも数多くの閉鎖を強いられたのが北関東の茨城だった。土浦、牛久など11もの店舗を一挙に閉鎖、24あった茨城県内の店舗数はわずか2カ月間で13に減った。

茨城はヤマダの宿敵、ケーズデンキ(ケーズホールディングス)のおひざ元。水戸発祥のケーズは県内のほぼすべての市・町に店舗を構え、地元で圧倒的なシェアを有してきた。そのシェアを奪うべく、ヤマダは過去10年間で茨城県内に18店を出店。一時は県内店舗数を24まで増やし、ケーズ(2015年3月末時点で36)に迫った。 

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