営業利益率15%以上、縮小市場でも儲かる!--ネスレ日本・高岡社長が語る高収益体質の秘訣
--もう一つの柱であるコーヒーでも大きくビジネスを転換されました。
09年に投入したのが「バリスタ」というコーヒーマシンだ。従来のコーヒーマシンはコーヒーの粉末を使用するが、「バリスタ」ではインスタントコーヒーを使用、しかも弊社の製品しか使えないという仕組みになっている。
マシン本体の価格は低く、本体で利益は出ないが、専用の詰め替えパックで儲ける仕組み。今までにないこのビジネスモデルにより、09年4月の発売以降、11年6月までで累計50万台を販売した。一般的なコーヒーマシン市場で年間100万台が入れ替わると言われる中、この数字は際立っている。
特売が多く採算性が低いコーヒーでも、状況の打開には新しいビジネスモデルが必要だった。消費スタイルも変化しており、もはや競合は味の素ゼネラルフーヅ(AGF)のようなコーヒーメーカーではなく、スターバックスのようなカフェだと認識していたからだ。ならば、カフェで何百円も高い料金を払うなら、同じクオリティのものを低価格で消費者に提供しようと考えた。
私は日頃からスローガンとして、「ゲームのルールを変えろ」と言っている。市場の縮小、原材料高、消費者の低価格志向など課題は多いが、ニトリやユニクロを見ると、自社で製品の企画を行い、自前の小売店を通じて販売するという新しいビジネスモデルで成功を収めている。
--ネスレ日本副社長時代、10年1月には菓子部門、ペットフード部門の子会社をネスレ日本の本体に統合し、社長就任後の11年1月には製造部門も取り込みました。どのような効果が出ていますか。
これまで別会社で販売していた異なるカテゴリーの商品が一つ屋根の下に集まったことで、シナジー効果が出ている。たとえば、コーヒーやチョコ菓子を営業する際、これまでは小売店に対して商品ごとに販売の提案をしていた。
現在は「うちなかカフェ」というコンセプトを立てて、コーヒーやチョコ菓子を同じ売り場に置いてもらっている。家でコーヒーを飲むときには「キットカット」のようなチョコ菓子も一緒に食べよう、という販促スタイルだ。
複数ブランドを一緒に持っていけるというのは、他の会社にはまねできないやり方で、明らかに提案力がある。それが、今回の好業績にも結びついた。