「死ぬ権利」フランスで議論が進んでいる背景 高齢化が進む日本ではタブー視が続くが…

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アンベールの事件は政治的な議論の引き金となった。2005年、国民議会は「医療が無益、不相応、あるいは人工的に人を生かし続けることだけを目的としているとき」患者を生かし続けるための「不合理な強情」を禁止する法律(レオネッティ法)を全会一致で可決した。また、この法律は緩和ケアを受ける権利も患者に与えた。

その11年後、新しい法律(クレス・レオネッティ法)が患者にさらなる権利を与えた。特定の条件下では、健康状態が大きく悪化する前に自らの希望を書面にして医師に行為を指示することができるようになった一方、患者は死に至るまで鎮静剤の投与を受けることを求めることができるようになった。

医師が「積極的に」患者の死を手助け

現在、国民議会で議論されている法案は、医師が患者の死を手助けすることを「積極的に」認めるものだ。「フランスの以前の法律はまもなく死ぬ人々のためのものだった。この法案は死を望む人々のためのものだ」と、法案に反対する国民議会議員のジャン・レオネッティ医師は『ル・フィガロ』で警告している。一部の緩和ケアに関する団体は、新たな法案は適切な医療ケアを受けることができない患者を社会が見放すための都合のいい手段だと見なしている。

一方、この法案は患者に自由を与えると称賛する人々もいる。そもそもなぜ苦しまなければならないのか?「あなたの人生の終わりについての決定権を医師があなたに返すことを拒否するのを受け入れるのはもうやめよう!」とフランスの有名作家であるアンヌ・ベールは書いている。ベールはシャルコー病を患っており、2017年に安楽死を受けるためにベルギーに行った。

「鎮静剤の投与を受ける患者の隣で一晩を過ごす人は誰しも次の3つの質問を次々に自問することになる。『この人は苦しんでいるのか?』『苦しみはどれだけ続くのか?』そして最後に、『この苦しみに何の意味があるのか?』」と、フランスのベテラン医師であるドニ・ラベイルは書いている。彼は患者の死を手助けしたことを公然と認めている。

「自殺を試みた人が病院に運ばれた場合、当人の明らかな死への意志があるにもかかわらず、病院はその人を救おうとするだろう? 私たちは患者の個人の自由と、社会が患者に対して有する共同体としての責任とのバランスをとらなければならない。それが非常に慎重を要するバランスだとしても」とレオネッティは警告する。

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