マクロン大統領「解散ギャンブル」何がヤバいのか 政治不安懸念から株価下落、国債格下げ警告

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そして10日、ムーディーズは、マクロンが繰り出した策は「二極化した政治環境」を作り出し、フランスの財政難を深刻化させるおそれがあると警告した。マクロンの国民議会解散は、財政規律を取り戻せなくなるリスクを増大させるもので、さらなる格下げの可能性を高めるものとなった。

極右支持の背後に「経済への不満」

ルペンとその弟子のアジテーター、ジョルダン・バルデラは、インフレとエネルギーコスト高騰がもたらした購買力低下への対応や、グローバル化による産業の衰退で荒廃した地域での雇用創出といった課題に公共支出の増加で対処する姿勢を打ち出し、多くの有権者が国民連合支持に回るようになっている。

マクロンは、ロシアによるウクライナ侵攻を受けてヨーロッパの指導者としての役割を果たそうとしてきたが、そうした中で国民連合は、特に地方の有権者を取り込もうと熱心に活動してきた。

ルペンの政党は先日のヨーロッパ議会選挙で、産業衰退によって雇用が失われた地域で大差の勝利を収めた。国民連合は、購買力の強化、「賢い」保護主義による雇用創出、グローバル化を進めるEUの政策からフランスを守ることを公約に掲げ、多くの人々の心をつかんでいる。

マクロンは、経済の停滞、移民問題、EUが課す規制要件などを利用して不満を持つ有権者の取り込みを図る国民連合の台頭に対抗しようとしてきた。

大統領任期2期目の中盤にある現在、マクロンはフランスをビジネスの場に回帰させようとしており、特に外国人投資家に対してフランスのイメージを高めようとしている。フランスの厳格な労働規制を見直して雇用や解雇をしやすくするなど、フランスの手厚い失業対策制度をスリム化しようとしているのも、その一環だ。

それでも、特にルペンの国民連合支持に傾く有権者にとって、フランス経済の停滞は目立った問題となっている。マクロンは格差縮小を公約したものの、政権発足後の7年間で、格差はむしろ拡大していると感じている人が多い。

(執筆:Liz Alderman記者)
(C)2024 The New York Times

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