マクロン大統領「解散ギャンブル」何がヤバいのか 政治不安懸念から株価下落、国債格下げ警告

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フランスの財政運営能力に対する投資家の不安を背景に、フランスの10年物国債利回りは2日連続で急上昇(国債価格は急落)。国債利回りは政府の借入コストを示すものであり、その水準が上がれば、景気刺激策の出動や国の債務管理が難しくなる。

フランスはにわかに、未知の領域に直面することとなった。急遽行われることになった総選挙ではルペン率いる「国民連合」が勝利する可能性もあり、そうなればマクロンの政権掌握力は弱まり、野党の首相と対峙する「ねじれ」の中で国家運営を迫られ、政治的な打撃に経済的な混乱が加わるおそれがある。

今回の混乱は、フランス経済の苦境と重なったためだ。マクロン政権は最近、今年の経済成長率が予想を割り込むと警告。経済・財務相ブルーノ・ルメールは国家財政が悪化する中、200億ユーロを超える支出削減策を早急にまとめるよう指示されていた。

ルペン躍進で「債務危機」の可能性

フランス政府は新型コロナウイルスのパンデミック期間中に景気を下支えしたり、エネルギー価格の高騰から消費者を保護したりするために惜しみなく財政支出を行ったが、その結果、フランスの債務は3兆ユーロと、国内総生産(GDP)比で110.6%にまで膨れ上がった。2023年の財政赤字は1540億ユーロ、GDP比で5.5%のレベルにあり、ユーロ圏で最悪のグループに属する。

フランスは現在、政府の借金を制限するヨーロッパ連合(EU)の予算ルールに抵触しているおそれがあり、近くヨーロッパ委員会(EUの執行機関)の制裁を受ける可能性が高い。ルメールは10日、ルペンの党が力を持つようなことがあれば、フランスは「債務危機」に陥るおそれがあると警告した。

フランス政府は、国際格付け機関による国債格付けの引き下げとそれに伴う借入コストの上昇について懸念を深めていた。5月31日、スタンダード・アンド・プアーズがフランス国債の格付けを引き下げ、経済的信用を主な政治的資産のひとつとしてきたフランス政府を動揺させた。

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