飲食店を悩ます「ドタキャン」何が問題なのか やむを得ないキャンセルのときにできること

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宮本さんが経営するレストラン
宮本さんが経営するレストラン(出所:アンティカ・ロカンダ・ミヤモト公式サイト)

直前、しかも体調不良ということで、キャンセル料は後日ということでいったん電話を切ったものの、数日後に宮本さんがそのゲストに電話してもつながらず、ショートメールにも返信がなかった。

それで控えてあったメールアドレスに、キャンセル料の支払いについて連絡したところ、逆に不満感をにおわせた返信が来た。「料理を食べていないのに、なぜ自分はお金を払わなければならないのか」ということだったらしい。

そもそもキャンセル料は何の費用か

最近はキャンセル対策として、キャンセルポリシーを公式サイト等に掲げる飲食店も増えてきた。宮本さんの店でも「1週間前から予約前日までが50%、当日は100%」とキャンセルポリシーを設定し、予約時にゲストに伝えている。

このキャンセル料、何に対してかかっているのだろうか。

飲食店はホテルや航空会社などのようにその日・その時間でしか消費できない「在庫を繰り越せない業態」であるため、キャンセルを受けると売り上げがゼロになるだけでなく、そのゲストのためにほかの予約を断っていたとすれば、さらに損失額が増える可能性がある。

一方で、キャンセルで出る損害を、「時間」ではなく「食材などの原価」だけだととらえてしまうと、食材が残れば店の損失は発生していないと考えてしまう。そのため食べていないのにキャンセル料を払うということに納得がいかないと考えるのかもしれない。

しかし、食材が使われなければ損失が出ていないかというと決してそうではない。仕込みの人件費はすでにかかっているし、食材そのものでも宮本さんの店でいえば、いったんキャンセルが出れば食材で「7割か8割は損失」という。

たとえばメイン料理のあか牛は、予約時間の数時間前に人数分カットし、乾燥させて、食材のコンディションが予約時間にピークになるように持っていく。キャンセルが出れば、その分は使われない。

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