人気列車がなぜ?欧州「消えた有名特急」の面々 名称消滅「タリス」や会社自体が姿消した列車
パリ―ブリュッセル間は、もともとビジネス客の利用が非常に多く、1957年に運行を開始した「TEE」(ヨーロッパ国際特急)の最初の運行区間としても知られる。高速新線の開業と共に運行を開始したタリスは、時間帯によっては30分間隔で運行されるなど高い乗車率を誇った。

それだけに、ユーロスターへ吸収される形での両社の合併が報じられたときはまさかという思いであった。2019年に両社の合併が発表されると、2022年に欧州委員会から正式に合併の承認が下り、その後は新ブランドロゴの制定などを経て、2023年9月をもって約27年間親しまれた「タリス」という名前はあっさりと姿を消した。
しかしながら、昨今の経済状況の悪化や運用コストの上昇、さらには他交通機関との価格競争による収益力低下などが徐々に会社の体力を奪っていき、近年は車内サービスの簡素化などが目立っていた。タリス単独で生き残っていくことは、コロナ禍やウクライナ情勢などがなくても難しかったといえる。
ユーロスターとなった現在の旧タリスは、そのまま元の車両を使い、塗装も赤と銀のままで、ロゴだけをユーロスターへ変更して運行を続けている。サービス内容も、英仏間の列車とは完全に分かれており、親会社と名前だけが変わったというのが実情だ。


一方でユーロスター社は、現行車両を置き換える新型車両の選定に入ったと報じられており、それが英仏間で使用されているシーメンス製になるのか、TGVを製造するアルストム製になるのか、はたまた別のメーカー製になるのかが注目されている。
会社ごと消えた人気国際特急
「チザルピーノ」という列車名を聞いたことがあるだろうか。「ああ、そういえばそんな名前の列車を聞いたことがあるな……」という人はいるのではないか。少なくともその程度の知名度はあったと思う。

この列車はイタリアとスイスの間を結ぶ国際列車だった。観光旅行の訪問先では常に上位となる人気の2カ国を結ぶ列車だったこともあって、メディアでの露出が多く、日本でも子供向けの図鑑などでしばしば紹介されたため、海外の列車としては比較的知られた存在だった。
「だった」と過去形なのは、運行していたチザルピーノ社が解散し、列車そのものが消滅してしまったからだ。
チザルピーノ社は、イタリアとスイスの間を結ぶ国際列車を運行するため、イタリア鉄道とスイス連邦鉄道が半分ずつ出資して設立した合弁企業だった。それまで各国鉄が保有する車両の寄せ集めで運行されていた両国間の国際列車とは異なり、チザルピーノ社が保有する振り子式特急列車「ETR470型」を導入し、専用車両として運行した。

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