全国屈指の赤字路線「JR芸備線」存続への道筋は? 有識者が提言「赤字どころか、伸びしろある」

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芸備線では2023年の夏と秋の土休日に広島―備後庄原間を結ぶ臨時快速庄原ライナーが設定された。地元関係者や住民によると、「この庄原ライナーを備後落合駅まで延長運転すればおろち号への接続が取れるダイヤとなってはいたものの乗りやすいダイヤにしようとJRが考えているようには思えなかった」とため息を漏らす。また、広島―三次間はそれなりに本数はあるものの三次以東は広島から接続の良い列車は1日に数本しかなく、土休日に広島から備後西城や備後落合に行こうとすれば三次駅13時発の備後落合行まで待たなくてはいけない。

こうしたダイヤ設定についても藻谷氏は勉強会の中で「JR西日本は超閑散線区を先に廃止したいことから、運行ダイヤを利用しようがないほど不便にし、路盤を補修せずに低速化して、先に住民が鉄道を見放すように誘導している」と指摘していた。

JR西日本の経営スタンスについては、京阪神の路線のみに注力し中国地方や北陸地方の赤字路線はできだけ手放したいという姿勢が垣間見える。2015年の北陸新幹線の長野―金沢開業時には、乗客の多い富山―金沢間すら並行在来線としてあっさり手放した。

今後は全国的なネットワークを広げていきたい

横川代表は、再構築協議会の期間は3年間だが「最初の1年で地元の住民がどう動くのかが重要になる」と意気込みを語る。

2023年12月には、沿線の三次高校の生徒でつくる「芸備線を盛り上げる会」のメンバー12人が芸備線対策協議会会長を務める三次市の福岡誠志市長を訪ね芸備線を活用したまちづくり策の提言を行っている。三次市では2018年に三江線が廃止されたことにより、旧三江線沿線に住む高校生は、保護者が通学の足となり送り迎えをしていることから三次高校の生徒たちは芸備線の存廃問題を深刻に受け止めているという。さらに再構築協議の直前となる3月24日には、再び藻谷さんを庄原市に招いて市民集会が開かれた。

今後については、「全国で再構築協議会を働きかけられそうな地域の市民団体と交流し、全国的なネットワークに広げていきたい」としている。

櫛田 泉 経済ジャーナリスト

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くしだ・せん / Sen Kushida

くしだ・せん●1981年北海道生まれ。札幌光星高等学校、小樽商科大学商学部卒、同大学院商学研究科経営管理修士(MBA)コース修了。大手IT会社の新規事業開発部を経て、北海道岩内町のブランド茶漬け「伝統の漁師めし・岩内鰊和次郎」をプロデュース。現在、合同会社いわない前浜市場CEOを務める。BSフジサンデ―ドキュメンタリー「今こそ鉄路を活かせ!地方創生への再出発」番組監修。

 

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