全国屈指の赤字路線「JR芸備線」存続への道筋は? 有識者が提言「赤字どころか、伸びしろある」

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藻谷氏は「既存の枠組みで議論している限り、JRも自治体も費用負担をするという話にはならない。国も費用負担に対して関与せよという運動をおこすべき。広島県は総理大臣も国土交通大臣も輩出している」と呼びかけた。

この勉強会を主催した市民団体「芸備線魅力創造プロジェクト」の横川修代表は「JR西日本が再構築協議を要請した備後庄原―備中神代間のうち、最も長い区間のある庄原市の中でも影響が大きい旧西城町の住民に今回の問題をより深く理解してもらうために企画した」と話す。そうした中で、「地域が抱える問題に詳しく、全国各地の事例に精通されている藻谷さんにお願いした」という。

再構築協議が開始された芸備線(写真:林智雄)

接続が悪く使いたくても使えないダイヤに

芸備線魅力創造プロジェクトが活動を開始したのは2023年1月のことで、備後落合駅でボランティアの清掃活動を実施してきたメンバーを中心に結成。6月に正式に発足した。特に芸備線の「備後落合―備中神代間は存続が厳しいことが容易に予想され、乗客も地元の人に比べ全国から乗りに来る人が多い状況だった」。こうしたことから、「このまま芸備線を本当になくしてよいのかという問題意識から市民団体を立ち上げた」と横川代表は振り返る。

芸備線魅力創造プロジェクトが、最初に行ったことは、シンポジウムを開催するためのクラウドファンディングを実施することだった。7月から8月のおよそ2カ月で300万円以上を集めた。この資金を原資に9月23日には、庄原市内で俳優の六角精児氏や鉄道ジャーナリストの杉山淳一氏をパネリストに招いてのシンポジウム「芸備線・木次線~魅力を活かす方法を考える」を開催した。さらに翌9月24日には、キハ40系気動車2両を使用した団体貸切列車「呑み鉄鈍行ちどり足」号の運行を三次―備後落合間で行った。

しかし、横川代表は「芸備線の現状は、訪ねてくる人だけでなく、地元の人でさえ利用したくても利用できない状態となってしまっている」と嘆く。2023年11月、木次線の備後落合―木次間を運行していたトロッコ列車「奥出雲おろち号」が車両老朽化により廃止された。おろち号は備後落合駅に12時36分に到着し20分ほど停車して折り返すが、広島方面からおろち号に接続できる列車の設定はなく、備後落合駅からも広島方面や新見方面に接続する列車の設定はされていなかった。こうしたことから、備後落合駅に到着した乗客はそのまま木次線で折り返すしか選択肢がなかったという。

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