Netflix「動画配信で成功」を実現できた企業文化 経営者だけでなく従業員にまで浸透している

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動画ストリーミングサービスのNetflixはその最たる例といえる。

Netflixは元々、DVDの宅配販売・レンタルを行なう会社であった。共同創設者のReed Hastingsは、「人々は将来的にインターネットで動画を観るようになるはずだ」と確信し、2007年にインターネットでの動画配信を始めた。

起業家精神の浸透が「明暗」の分かれ道

その後、自らがコンテンツ制作に携わることを決定し、2011年には大ヒットシリーズのHouse of cardsを生み出し、Netflixの登録者を大きく成長させることに成功した。いまでは、フェイスブック、アマゾン、グーグル等とともにグローバルIT企業の仲間入りをしている。

『米国の投資家が評価する「良い会社」の条件 クオリティ投資の思考法』(日本実業出版社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

一方、Netflixのライバルで、一時は全米各地に3000店舗を展開していたDVDレンタルチェーンのBlockbusterは、動画ストリーミングサービスの普及によって2010年に倒産に追い込まれた。マネジメントが、インターネットの普及と消費者の嗜向の変化をうまく捉えられなかった結果といえよう。

新しい事業をスタートすることにはリスクが伴う。リスクを極端に嫌がる企業は、目先の数年は生き残りが可能であるが、長期的に存続していくことはむずかしい。

投資家として会社の起業家精神を判断するうえでは、CEOとの面談を重視している。面談のなかでは、CEOが時代の変化を捉えようとしているか? 新しい挑戦を行なう姿勢を持っているか? それを会社全体のカルチャーとして普及させる努力を行なっているか? 従業員の起業家精神が適切に評価される仕組みが構築されているか? といった点を確認する。

また、CEOのみならず従業員の方と対話をするのも有益だ。従業員の方は、当然、投資家とのコミュニケーションのプロではないため、会社のカルチャーをありのままに反映していることが多い。起業家精神が浸透している会社と、浸透していない会社とでは、従業員の方の話の熱量に大きな違いを感じることができる。

森 憲治 公認会計士、米国証券アナリスト

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もり けんじ / Kenji Mori

公認会計士、米国証券アナリスト(CFA)、シカゴ大MBA
(Chicago Booth School of Business)。2007年にPwCあらた監査法人(現・PwC Japan有限責任監査法人)に入社(2013~2015年の2年間は米国PwCボストンオフィス出向)。ファンド業界のクライアントに対し会計監査、コンサルティング業務を提供。シニアマネージャーとして2019年まで勤務。シカゴ大MBAを経て、シカゴに拠点を設ける投資ファンド(Anthropocene Capital Management, LLC)にシニア投資アナリストとして2023 年まで勤務。Anthropocene Capital Management, LLCはクオリティ投資戦略を採用し、欧州・アジアの中小型株に対し長期的に投資を行なっている。

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