不振のグッチ「日本だけが好調」その"カラクリ" ヴィトンも何度も値上げしても日本は伸びる
エルメスは中国でも好調を維持し、売上高の6割近くをアジア太平洋地域で稼いでいる。
日本、中国ともに直近2~3年で何度も値上げしているが、中国では「今が一番安い」「中古価値も上がる」という受け止め方をされ、逆風になっていないどころかロレックスのように投資価値が高まっている。
もう一度ケリングに戻ってみよう。
売上高の半分近くを占めるグッチは、2024年1~3月決算において、中国だけでなく西欧(15%減)と北米(18%減)も2ケタ減となっている。日本は唯一伸びており、前年同期比7%増だ。
サンローランの売上高は日本を除くアジア太平洋が前年同期比12%減、西欧が横ばい、北米が同6%減で、日本は同34%増。決算資料の報告にも「日本で力強い成長」と記載されている。
ボッテガ・ヴェネタは日本を除くアジア太平洋が4%減、日本は7%増だが、西欧(14%増)と北米(25%増)の方が伸びている。
ケリング傘下の主要3ブランドすべてでプラスになっているのは日本だけだ。その要因が円安によるインバウンド需要で、中国人によるものだと考えるとつじつまが合う。
グッチ苦戦の本当の理由
では、グッチの中国市場での不振の本当の原因は何だろうか。
ファッション関係者なら知っているのだろうが、同ブランドはこの数年経営が混乱し、立て直しのフェーズにある。
前述したように販売減は中国に限ったことではなく、円安の恩恵を受けている日本以外は等しく苦戦している。
2023年9月には低迷を受け、グッチのCEOが交代した。2010年代後半の成長を牽引してきたアレッサンドロ・ミケーレ氏が2022年にクリエイティブディレクターを退き、後任にサバト・デ・サルノ氏が就いた。
ラグジュアリーブランドのバッグを所有している中国人30代女性数人に聞いたところ、「グッチは若者向けというイメージがあり、自分の年齢に合わない」「2015年ごろに大きなブームがあったが、デザインが尖りすぎていて、今となっては使いにくい」との答えが返ってきた。
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