「世界最高の職場」は、どう設計されているのか グーグルが定めた「ワーク・ルールズ」とは?

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グローバルで戦略的な組織を目指す企業には耳の痛い話も多い。著者は「グローバル」や「戦略」といった言葉を含む肩書きを禁じた。「グローバルを禁じたのは、それは自明のことであり、自己を美化する言葉だったからだ」と述べ、「戦略と付けるのは求人への応募者を増やすいい方法だが」と続ける、私もこの効果には同意する。

著者が読者の疑問に先回りして回答

ラズロ・ボック(Laszlo Bock)グーグル上級副社長。1972年、共産主義政権下のルーマニア生まれ。マッキンゼーやGEに勤務。2006年にグーグル入社。従業員6000人から6万人に増えていく過程で、グーグルの人事システムを設計し、進化させてきた責任者

本書を一読するとわかるが、著者ラズロ・ボックはディベートの訓練を受けたような人間である。基本的に読者が次に口にするであろう質問に先回りして回答を用意してあるのだ。グーグルには「それは巨額の利益を上げるグーグルだから出来るんでしょ?新卒に年収2000万円近く払うんでしょ?」と外の人間が言うような特徴的な施策が多いため、「ウチとは違う」と思われがちなのも事実である。

また本書はグーグルの数多くの失敗についても触れている。著者は「グーグルは15年間で250以上のプロダクトやサービスを投入してきたが、その大半は私も名前さえ聞いたことがない」と言う。

本書に興味を持った方に、本書の冒頭で、ある米国有数の企業の人事担当者が著者ラズロにした質問(意訳)を参考にして欲しい。

「グーグルはイノベーティブな文化を持っていることで知られています。『創造性』の部屋をつくり、テーブルサッカー、ビーンバッグチェア、たくさんのスナック菓子を用意すれば、人々は常識外れのアイディアを思いつくことができます。どう思われますか? グーグルではどうしているのでしょうか」

本書はTechCrunchとWIREDしか読まない、"シリコンバレー万歳"な方から、全てが管理された閉塞感漂う組織の方まで一読をお薦めしたい。著者によれば「グーグルの人事プログラムの大半は誰でも真似できる」そうである。

塩野 誠 経営共創基盤(IGPI)共同経営者/マネージングディレクター JBIC IG Partners 代表取締役 CIO

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しおの まこと / Makoto Shiono

国内外の企業への戦略コンサルティング、M&Aアドバイザリー業務に従事。各国でのデジタルテクノロジーと政府の動向について調査し、欧州、ロシアで企業投資を行う。著書に『デジタルテクノロジーと国際政治の力学』(NewsPicksパブリッシング)、『世界で活躍する人は、どんな戦略思考をしているのか?』(KADOKAWA)等、多数。

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