アルコール業界をいら立たせる2つの「警告文」 酒はタバコと同じ運命をたどることになるのか

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アルコール飲料業界はアイルランドのラベル表示義務化の実施を阻止しようと多方面で争っている。昨年6月と11月に開催された世界貿易機関(WTO)の委員会会合では、業界団体とアメリカを含む11のアルコール飲料輸出国が懸念を表明。発がんリスク警告の科学的妥当性に疑問を呈し、アイルランドのラベルは自由貿易を侵害すると主張した。

ヨーロッパ委員会は2023年末までに、がん撲滅計画の一環としてアルコール飲料の健康への影響に注意を促す文言を提案する予定だったが、その期限を守ることはできなかった。

ヨーロッパ議会は12月、WHOの反対を押し切って、警告ラベルの必要性を認めない代わりに「適度で責任ある飲酒」に関する情報を求める報告書を承認した。

最終報告書では、アルコールの健康被害に関する文言は度重なる変更で薄められ、警告の対象は「有害」もしくは「過剰」な飲酒に限定された。

WHOで戦略顧問を務めるゴーデン・ガレア医師は、ラベル表示の取り組みがいずれ成功することを確信していると述べた。63歳のガレア氏は、自分はかつてタバコ会社が新聞の一面に広告を掲載していた時代を思い出せる世代だとも語った。

ガレア氏は「農薬には警告が必要なのに、アルコールのような発がん性物質を平然と売ることができた時代があったことを人々が忘れ去る」時代が来ることを願っている。

(執筆:Ted Alcorn)
(C)2024 The New York Times

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