消費者金融、「冬の10年」は終わったのか 大手3社に業績回復の兆し

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

営業攻勢の一方で、業績回復を妨げてきた過払い金利の返還費用が大きく減少に転じるかは未知数だ。今16年3月期については上場企業のアコム、プロミスとも利息返還費用がなくなる見通し(昨年度は各499億円、521億円)を示しているが、4~5月の月次数字から見たところ、引き続き費用負担が発生する可能性が高い。「6月以降も昨年と同様に返還請求件数が高止まりするようだと影響が出てくるおそれがある」(アコム)という。

過払い金返還費用は、この10年間に業界全体で約4兆円に達したと見られる。時効は「完済から10年」とされることから、過払い金問題をすでに解決済みのレイクを除き、さらに数年間は業績の頭を押さえつける要因になりかねない。

銀行が消費者ローンで積極攻勢

これまでの“失われた10年”の間に、業界地図は様変わりしている。消費者金融業界では最大手の武富士が破綻、レイクは新生銀行によって事業の“新旧分離”が実施された。アコムやプロミスも大手都市銀行の傘下に入り、アイフルは事業再生ADRによる再建をめざしてきた(ADR期間は昨年7月に終了)。

この間、個人ローン分野では、大手銀行がカードローンを積極化している。三井住友銀行では金利水準が「年利4.0~14.5%」と相対的に低いうえ、「最短30分審査、即日カード発行も可能」を売りに攻勢をかけている。すでに、銀行による個人ローン残高は、消費者金融専業や信販・クレジットカード会社のそれを上回っている。銀行と消費者金融専業では顧客層が分かれているというものの、競合も起きている。一方で消費者金融専業大手は保証業務を通じて、銀行のカードローン戦略の一翼も担っている。
 

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事