「無意味な新卒採用」に陥る会社に欠けている視点 なんとなく新卒採用をしていてはいけない
コア人材とは、企業経営を行う将来の幹部候補です。いろいろな経験をして、社内のことをよく知っている必要がありますから、育てるのに時間がかかります。年収500万、600万の中途社員を採って育成期間に3年かけたりするのはリスクが高すぎます。
では、ポテンシャルが高くて、エネルギーもあって、最も人件費が安いのは誰か。そう考えたときに「新卒だ」という結論になりました。育成期間を長く設けるためには、人件費を安く抑えなくてはいけません。いちばんお給料の安い人たちを採って、ある程度時間をかけて、いろいろな経験をさせて育てる。私は、そのために新卒採用を行っていました。
新卒採用をするための条件とは?
新卒採用は、ただなんとなく始めるのはおすすめできませんが、明確な目的があるのならやってみる価値はあります。ただ、そのためには社内の環境をしっかり整えておくことが必要です。新卒採用をするなら、次の条件について確認してみてください。
新卒採用を始めるにあたって重要なのは、「入社後のキャリアステップ」はできているか。キャリアアップのための道筋が明確に示されていないと、優秀な人材ほど「この会社にいても成長できない」と思ってすぐに辞めてしまいます。新卒採用をするのなら、キャリアアップの道筋を示す等級制度のようなものを整えておくことが必要です。
研修やOJTなど、人材育成の仕組みを整えておくことも大事です。OJTは新人を育てることによって中堅が育つメリットもありますが、明確な指針もなく教育担当を任せてしまうと現場の社員が疲弊してしまいます。OJT担当者の業務は軽くする、人材育成を評価項目に加えるなど複眼的に捉えて、人材育成の仕組みを整備しましょう。
コア人材を育てるためには、減耗率も考えておく必要があります。新卒社員は3年以内に3割が辞めるのが定説ですが、5割、6割というケースも少なくありません。優秀な人材を採用すればするほど、彼ら・彼女らはその優秀さゆえ「どこにでも行ける」わけで、離職リスクは高まります。10年後には全員が辞めている場合もあります。「5年後、10年後の社内の人員構成はどうなっているのか」「各部門にはどのような人材が何人必要になるのか」など、中長期的な人員計画を改めて練り直したうえで、採用人数を決めていきましょう。