大学生と企業が手を組んだキャンピングカーの姿 学生がデザインを担当、限定7台で販売が決定

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アコロでは、そうしたベース車両の基本装備を継承しつつ、シート生地をオリジナルに変更し、前出のグラフィックを施している。また、映像が映し出せるプロジェクターとスクリーンも採用。学生たちによれば「映画館のようにしたい」といったアイデアを採り入れたものだ。また、付属のベッドマットやテーブルは、車外にセットすることで、晴れた日に大自然をより堪能できる工夫も施している。

学生のアイデアと制作に携わった感想

アコロの価格(税込み)は、サイドオーニングや外装のオリジナルデカールなどのオプションが付いた展示車の場合で、732万1600円。前述のとおり、キャンピングカーランドが限定7台で販売を手がけている。

アコロのインテリア
アコロのインテリア(筆者撮影)

なお、会場にいた学生4名に、今回のプロジェクト参加について感想を聞いてみたところ、異口同音に「とても面白かった」という。きっと、今までにない多くの体験をしたからだろう。とくにデザインが決まる前にアイデアを出し合った際には、さまざまな意見が飛び出して、楽しかったようだ。たとえば、「コタツ」。たしかに、コタツ仕様のキャンピングカーというのは、あまり採用例はないだろうから興味深い。この案は、残念ながら不採用となったが、そうした既存の概念にとらわれない斬新なアイデアがいくつも出されたという。

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今回のプロジェクトは、2024年以降も続くかどうかは未定。また、この授業で、キャンピングカー業界へ進む人材が生まれるかどうかもわからないが、それよりも、重要なのは「自由な発想を持つ大切さ」を学んだことではないだろうか。どんな業界に進もうと、固定観念にとらわれず、その時々の状況に応じたアイデアを生み出し、道を開拓していくことは必要だと思う。学生たちが、今回の経験を、これからの人生にどう活かし、どのように成長していくのかが興味深い。

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平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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