ドコモが海外の携帯通信見本市で放った存在感 日本の通信事業者が「海外に販売」する時代が来た
そして今回のMWCで新しい「OREX Packages」が発表され、NECがソフトウエアとシステムインテグレータを、OSなどをAWSとレッドハット、Qualcommがアクセラレータカードを、Hewlett Packard Enterprise 、デル・テクノロジーズがサーバー機器を提供するという形になっている。この新しいOREX Packagesは本年にはNTTドコモの商用5Gネットワークにインストールされていく計画だ。
このようにvRANの導入は、通信事業者主導になっており、そこに通信機器ベンダー、ソフトウエア・ハードウエアベンダーがぶら下がる形になっており、垂直統合から水平分業に完全に局面が変わったことを示している。2つのパッケージの筆頭が富士通、NECという日本を代表する通信機器ベンダー2社であり、バランスが取られていることも、そのことを象徴していると言える。
NTTドコモとNECが合弁会社を設立
vRANに関しては世界中の多くの通信事業者では実証実験の段階で、NTTドコモのように商用ネットワークですでに稼働が進んでいる事例はまだまだ少ない。日本の通信事業者は、今回のSDNに限らず最先端の技術を世界に先駆けて商用ネットワークに導入することが多く、世界中の通信事業者から注目されている存在だ。逆に言えば、NTTドコモにとってはそうしたノウハウを、直接は競合していない海外の事業者に販売できれば、新しいビジネスチャンスとなり得る可能性を秘めており、それを形にしているのが「OREX」だと言える。
同様のビジネスで、日本で第4位の携帯電話事業者である楽天の子会社「楽天シンフォニー」も楽天のSDN化ノウハウを海外の通信事業者に販売することを狙っている。
今回のMWCにおいてNTTドコモとNECは、合弁会社「OREX SAI」の設立を明らかにしている。OREX SAIは、NTTドコモが66%、NECが34%を出資しており、OREX Packagesを海外の通信事業者に提供する。ハードウエアやソフトウエアの調達、その組み合わせの動作検証を行い、実際に構築、保守、運営などを担当することになる。言ってみれば、このOREX SAIがシステムインテグレータとなって、海外の通信事業者にvRANを提供する形になる。
このように、楽天シンフォニーやOREX SAIは、今後日本の通信事業者のノウハウを「輸出」することを担う事業会社となる。これまで支払うばっかりだった日本の通信事業者にとっては新しいビジネスチャンスということができ、その動向は今後も要注目だ。
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