ドコモが海外の携帯通信見本市で放った存在感 日本の通信事業者が「海外に販売」する時代が来た
しかし、そうした携帯電話回線の通信機器市場には再び地殻変動が起きようとしている。その最大の要因は、5Gの普及につれて、従来の専用通信機器から、SDN(Software Defined Network)と呼ばれるソフトウエアと汎用サーバーを組み合わせた通信機器への置き換えが発生しようとしているからだ。
それが最も進んでいるは、5Gのコアで、ほとんどの通信事業者の5Gコアは、一般的なデータセンターそのものになっている。動いているのは、IntelやAMDのx86プロセッサーを搭載した汎用サーバー機で、その上で従来の通信機器ベンダーが提供している5Gコアを実現するソフトウエアが動作している。
「汎用サーバー+ソフトウエア」という流れ
現在専用機からSDNへの置き換えが進んでいるのが、RANだ。仮想的なRANということでvRANという呼び方、そのオープン仕様ということでOpen RAN、また業界標準団体(O-RAN ALLIANCE)により規格化されたO-RANなど、さまざまな呼び方があるが、細かな違いはあるが基本的にはいずれも汎用サーバー+ソフトウエアで実現されているという意味では同じものだと考えてよい(以下、それらを総称してvRANと呼ぶことにする)。
通信事業者にとってこうしたvRANを導入するメリットはいくつかあるが、大きなものはコスト削減と5Gネットワークの性能や機能強化があげられる。
vRANのハードウエアは、Dell Technologies、Hewlett Packard Enterprise(HPE)、Lenovo、Supermicroといった、データセンターにサーバー機器を提供している機器ベンダーの汎用品を利用する。ネットワークの処理を専門に行うアクセラレータカードを追加はするが、基本的には特別なハードウエアではなく、既製品をそのまま流用するため、専用品だった従来の通信機器に比べるとハードウエアのコストは圧倒的に安い。もちろん、その上で走らせるソフトウエアは、通信事業者向けにカスタマイズされたものだが、そのコストを付加しても圧倒的に安いというのが業界関係者の証言だ。
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