「働かざる者食うべからず」か、私達が失ったもの 『いのちの言の葉』最首悟氏に聞く

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『いのちの言の葉 やまゆり園事件・植松聖死刑囚へ生きる意味を問い続けた60通』著者の最首 悟氏
[著者プロフィル]最首 悟(さいしゅ・さとる)/和光大学名誉教授。1936年生まれ。東京大学で動物学の修士号取得後、東京大学助手を27年間務める。その間、助手共闘代表として東大闘争に参加、水俣病第2次学術調査団団長に就任。駿台予備校講師を経て和光大学教授。著書に『星子が居る』『明日もまた今日のごとく』など。(撮影:大澤 誠)
障害者施設「津久井やまゆり園」で19人の入所者を刺殺した植松聖死刑囚。「障害者は不幸しかつくらない」と言う犯人に、ダウン症の娘と暮らす著者が問いかける。60通のいのちの手紙。
いのちの言の葉: やまゆり園事件・植松聖死刑囚へ生きる意味を問い続けた60通
『いのちの言の葉: やまゆり園事件・植松聖死刑囚へ生きる意味を問い続けた60通』(最首 悟 著/春秋社/1980円/256ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──事件直後、新聞社からコメントを求められ、「八つ裂きにしても足りない」と発言した。しかし、手紙の言葉はあくまで穏やかで、思索的です。

私は死刑に反対です。彼に考え始める時間を持ってほしい。死刑はその時間を奪ってしまう。考え始め、責任を自覚する。責任を背負って生きる人生は、非常に意味があると思うからです。

予備校で医学系の入試論文の講師をしていたとき、赤ちゃんを3人死なせたインターンの医学生が「私に医師になる資格はない」と言ってきた。私は「辞めたら、医者は1人もいなくなるぞ」と言った。医者はミスの連続なんです。しかもそのミスは医者本人にしかわからない。それを背負って歩く。だんだん重くなっていく。その重さゆえ前に進むしかない。だから医者は辞められないのだ、と。

私たちも多かれ少なかれ、そうなんです。87歳の私なんか重荷だらけ。植松にも、自分がやったことの重みを考えてもらいたい。

彼からの返信で「大学に奉職するおまえが障害者の娘と生活しているとはひどい」とありました。大学とは能力のある人間を選抜し、育てるところだろう。俺は有言実行だが、おまえはそうではない、というわけです。

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