2011年3月11日、東日本大震災の津波による犠牲者は日本人だけではなかった。しかし、東北地方の太平洋沿岸部で何人の外国人が亡くなったのかは、今も正確にはわからない。震災から13年、被災地取材を続けるルポライターがその足跡をたどった。
──「津波で亡くなった外国人」というテーマに取り組んだ経緯は。
22年夏、取材で知り合ったモンゴル人の青年の言葉がきっかけでした。「震災で亡くなった外国人の数を、日本政府はいまだに正確につかめていないのでは?」と聞かれた。最初は、先進国の日本で「何人亡くなったかわからない」というのはさすがにありえないだろう、と思いました。
でも、少し調べただけでも数字がおかしい。最初に確認した国の調査、厚生労働省「人口動態統計」には、震災で41人の外国人が亡くなったと書かれていた。国籍別の人数も記載され、そこには「米国1人」とある。しかし米国人は僕が知っているだけでも2人以上亡くなっている。
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