東日本大震災、今もわからない「外国人犠牲者数」 『涙にも国籍はあるのでしょうか』三浦英之氏に聞く

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『涙にも国籍はあるのでしょうか』著者の三浦英之氏
[著者プロフィル]三浦英之(みうら・ひでゆき)/朝日新聞記者。1974年生まれ。『南三陸日記』(第25回平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞)、『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』(第13回開高健ノンフィクション賞)、『太陽の子 日本がアフリカに置き去りにした秘密』(第22回新潮ドキュメント賞ほか)など著書多数。
2011年3月11日、東日本大震災の津波による犠牲者は日本人だけではなかった。しかし、東北地方の太平洋沿岸部で何人の外国人が亡くなったのかは、今も正確にはわからない。震災から13年、被災地取材を続けるルポライターがその足跡をたどった。
涙にも国籍はあるのでしょうか:津波で亡くなった外国人をたどって
『涙にも国籍はあるのでしょうか 津波で亡くなった外国人をたどって』(三浦英之 著/新潮社/1925円/192ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──「津波で亡くなった外国人」というテーマに取り組んだ経緯は。

22年夏、取材で知り合ったモンゴル人の青年の言葉がきっかけでした。「震災で亡くなった外国人の数を、日本政府はいまだに正確につかめていないのでは?」と聞かれた。最初は、先進国の日本で「何人亡くなったかわからない」というのはさすがにありえないだろう、と思いました。

でも、少し調べただけでも数字がおかしい。最初に確認した国の調査、厚生労働省「人口動態統計」には、震災で41人の外国人が亡くなったと書かれていた。国籍別の人数も記載され、そこには「米国1人」とある。しかし米国人は僕が知っているだけでも2人以上亡くなっている。

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