黒田総裁、「円安望んでいないと言ってない」 為替についての10日の発言を釈明

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 6月16日、日銀の黒田東彦総裁は午前の参議院財政金融委員会に出席し、10日の衆院財務金融委員会で為替が実質実効レートで「ここから更に円安はありそうにない」と発言した趣旨について説明。5月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 16日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は16日午前の参議院財政金融委員会で、10日の衆院財務金融委員会において実質実効為替レートが「ここからさらに円安はありそうにない」と発言した趣旨について釈明した。「名目ベースで円安を望んでいない、円安にならないと言ったわけではない」と述べ、円安けん制との見方を否定。実質実効レートは金融政策運営の役には立たないとも語った。

<実質実効為替レート、金融政策には役立たない>

総裁は10日の発言が、あくまで2国間の貿易額や物価動向などを考慮した実質実効レートに対する言及と再三強調。実質実効レートは「2国間の名目為替レートの先行きを占うものでない」「先行きの為替の見通しに使うことは難しい」とし、名目為替レートの「先行きの評価や予測をしたわけでない」と明言した。

実質実効為替レートと金融政策との関連についても「金融政策にすぐに役に立つかといわれれば、それは役に立たない。非常に迂遠なものだ」とし、「金融政策に何か深い意味あるとか縁があるとか、そういうことはない」と語った。

為替相場については「経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)を反映して安定的に推移するのが望ましい」「ファンダメンタルズを反映していれば、経済に悪影響を及ぼすことはない」との見解を示した。また、一般論として、円安は輸出産業を中心とした収益拡大や株高などプラス面がある一方、非製造業のコスト上昇や家計の実質所得抑制などマイナス面もあるとし、「影響は経済主体によって異なる」と指摘した。

米国の利上げでさらに円安が進む可能性について、「金融政策が為替に影響するのは事実だが、市場の織り込み度合いによって変わる」と指摘。「米利上げで即ドル高(円安)になるか、先行き予測するのは難しい」と述べた。

<出口ではバランスシート・付利が議論に>

また、総裁は現行の量的・質的金融緩和(QQE)の出口について、現在は2%の物価安定目標の実現に努力している最中であり、議論は「時期尚早」とあらためて表明。出口の際には「拡大した(日銀の)バランスシートや超過準備の付利の取り扱いが議論になる」としながら、具体的な手段やタイミングについては「経済・物価や市場動向に即してやっていく」と述べるにとどめた。

もっとも、市場に不測を影響を与えずに適切な金利・金融状況をつくり出すことが「中央銀行の責務」と強調。これまでのところ市場や金融機関行動に「過度の期待の強気はみられていない」としながらも、過去のバブル経済の生成時のように金融引き締めが遅れることはない、と語った。

*内容を追加しました。

 

(竹本能文、伊藤純夫)

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