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ヨーロッパで静かに進んでいる台湾との関係強化 中国の拡張主義や「戦狼外交」に懸念高まる

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欧州でも、台湾海峡の現状維持に関する問題意識が高まり始めた。

台湾の新総統に選ばれた頼清徳氏(左)と副総統に就く蕭美琴氏は現在の外交方針の継続を強調する(写真:Getty Images)

私が滞在するハンガリーを自転車で駆ける外交官がいる。

台湾の劉世忠さんだ。大使館に相当する代表処のトップを務める。台湾が誇るスポーツ自転車世界最大手の巨大機械工業(ジャイアント)の自転車に乗って、地元TVの取材にサイクルウェアとヘルメット姿で現れて記者を驚かせたり、地元紙の一面を飾ったり……。権威主義を強めるオルバン政権の下「親ロ親中」が目立つハンガリーで、台湾のアピールに努める。

ジャイアントはハンガリー北部に年産30万台の工場を構える。2020年から本格的に生産を始め、ヨーロッパ各地へ輸出する。米中貿易摩擦の長期化を想定し、消費地近くでの生産を強化。電気自動車(EV)とその電池でそれぞれ世界最大級の中国・比亜迪(BYD)と寧徳時代新能源科技(CATL)の進出に沸くハンガリーだが、ジャイアントの動きは一足早かった。

その後、コロナ禍や米中の経済を超えた対立の激化を背景に、部品の安定調達のためにも工場を消費地近くに確保する動きは世界的な流れとなった。「台湾企業は政治環境の見極めも含めて、リスクに敏感だ」。長く対中ビジネスに携わる日本企業幹部が、そう話していたことを思い出す。

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