長期で日本株が上昇する「ストーリー」はあるのか 「短中期」では日本株ブームは終わった可能性

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競馬である。

前回のコラムの中の競馬コーナーでも、日本競馬の発展のために「いま儲かっているときこそ、長期に設備投資をしろ、それはトラックのサーフェス(馬場)だ」という趣旨の話を提言した。今回は、同じ目的だが、産業組織改革を提案したい。

競馬は「スポーツベッティング」に侵食される可能性

危機感は前回と同じで、現在JRA(日本中央競馬会)競馬も地方競馬も大成功しており、一時の落ち込みから完全復活を果たしたように見える。だが「長期的には、競馬は衰退産業であり、それに備えて投資をしておけ」ということである。

直近の人気は、「ウマ娘」というゲームがもたらした一時的なものであり、少し前からの復活、特に地方競馬の回復は、ネット投票の浸透によるものだろう。

逆に言えば、この効果は、前者はすでになくなっているし、後者も頭打ちだ。今後はアメリカからの潮流を受け、最古の「スポーツギャンブリング」である競馬は、野球、サッカー、バスケットボールなどの「スポーツベッティング」に浸食されていくだろう。

なぜスポーツベッティングが優位なのか? それはギャンブルなしでも成立するスポーツに、人々が勝手に外野から賭けているので、ギャンブルの運営者にとっては超ローコストだからである。

一方、競馬はその対極にある。競艇、競輪あるいはドッグレースに比べてものすごく金(カネ)がかかる。今後、世の中は、効率化、低コスト化の進む世界になると思われる(世界的な少子化、労働力不足、あらゆる普通のことをするのにコストがかかるようになる。だから、付加価値よりも低コストのものが生き残っていく世界になる)。

そうなると、真っ先に維持不可能になるのはサラブレッドの世界だ。欧州競馬の衰退も、貴族の金がなくなったからであり、オイルマネーの道楽により何とか生き残っている。アメリカはそれに比べれば持続性があるが、それでも衰退傾向となっていくだろう。

一方、日本競馬が大成功したのは、JRAの戦略によるものだが、その背景にあるのは、競馬の庶民化、一般化、何より馬主の庶民化、一口馬主クラブの発明、発展である(これも前に述べた)。そして、日本のファンたちは、ウマ娘も一口馬主も、「物語」に心酔して、競馬の熱狂的なファンになっているのである。それはギャンブルとは異なった世界であり、今後もJRAは「物語」の続きを語らなくてはならない。

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