「原田泰造」が多様性系ドラマで重宝されるワケ 「おっパン」でも見せる悩めるおっさんの進化
LINE漫画を原作とした『おっパン』の主人公の沖田誠(原田)は50代。事務機器リース会社の営業戦略室長で、家族は妻と息子と娘と飼い犬。一軒家を持っている。彼はいわゆる、男は男らしく、女は女らしく、という昭和の価値観でここまでやってきた。
例えば、会社では女性がお茶を出すのが当たり前と考えていて、「お茶は女性が淹れてくれた方がおいしいだろう」と悪気なく発言し、男は強くあらねばならないとも思っているので、男性の部下には、悪気なく強気で営業することを強要してしまう。そのとき社内の若者たちの空気が微妙であることにすら気づかない。
ちょっと前なら女性がお茶、男は強気で営業が当たり前だったことが、今ではハラスメントになる。現代的なものさしを持っていないため、会社の部下たちの気持ちのみならず、自分の子供たちの気持ちもわからず、会社でも家でも浮いた存在で、ちょっと寂しく感じている(妻もパートや趣味で忙しくあまりかまってくれないし、飼い犬にも軽視されている)。
「令和」がおっさんを悩ませている
家族とうまくコミュニケーションがとれず、ひとり疎外感を感じるおっさんはいつの時代もいるものながら、令和の時代、気をつけないといけないことが多様になっていて、ますますおっさんを悩ませる。
長男・翔(城桧吏)は自室に引きこもり、鏡に向かいメイクしている。かわいいものが好きで、旧来の男らしさというものに興味がない。娘・萌(大原梓)は腐女子。妻・美香(富田靖子)の友人(松下由樹)の息子・大地(中島颯太)はゲイ。会社の部下・原西(井上拓哉)はメンズブラを着用している。
これほど身近に新たな価値観をもった人物たちがいる設定は極端な気もするが、そこはフィクションである。いや、実際、今、世界は彼らが少数派ではなくなっているのかもしれない。
ある日、沖田は息子・翔がネイルを施しているところを目撃し、驚く。男らしく、と育ててきたのに、いったいどうしたことか。でも息子には「お父さんみたいになりたくない」と激しく拒絶されてしまう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら