「受験期間もSNS見る学生」を襲う恐ろしい弊害 投稿を見ることでネガティブ感情が連鎖する

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さらに、ちょうど今ごろの時期で危険なのが、先に受験を終えてしまった人の投稿です。みなさんは周りが遊んでいるのを傍目に勉強や仕事をしながら、「何で自分だけ頑張っているんだろう……」と思った経験はありませんか? 同じようなことが今の時期には起こりやすいのです。

受験から解放された人の投稿も目に入る

いちばん長いケースでは3月まで受験が続くことになりますが、当然それまでに選抜入試などで進学先が決まる人はたくさんいます。これからSNS上には、受験勉強から解放された人の「春から○○大」とか「合格記念で旅行に来ました!」といった楽しそうな投稿が溢れてくるでしょう。

それを見て、「早く自分も解放されたい」という気持ちから、勉強が苦痛になってしまうのです。志望校をあきらめて「もう滑り止めのところでいいや」という考えがちょっとでもよぎると、気持ちを立て直すのは容易ではありません。

このように、SNSは受験生のメンタルに悪影響を及ぼす要素がたくさんあるのです。桜木先生が「とっととやめろ」と言っていた理由が、お分かりいただけるのではないでしょうか。

ところで私は東大に入った後、周りの合格者たちに「受験生時代、SNSってどうしてた?」と聞いて回ったことがあります。私自身はそれまで使ったことがなく、東大に入るレベルの高校生たちがどんなふうに利用しているか気になったためです。

答えはほぼ一律で「やっていなかった」というものでした。アカウントを削除したり、プロフィールに「受験が終わるまで見ません」などと宣言して、一切触っていなかったといいます。

学校から特に指示があったというわけでもなく、東大生たちは自分で「受験に不要なもの」と判断して、SNSを遮断していたのです。受験を勝ち抜くには学力だけでなく、自分の行動やメンタルを管理する力も大切なことを示す、いい例ではないでしょうか。SNSとの付き合い方について、みなさんもぜひ参考にしていただければと思います。

青戸 一之 東大卒講師・ドラゴン桜noteマガジン編集長

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あおと かずゆき

1983年生まれ、鳥取県出身。地元の進学校の高校を卒業後、フリーター生活を経て25歳で塾講師に転身。26歳から塾の教室長としてマネジメント業を行う傍ら、学習指導にも並行して携わる。29歳の時に入塾してきた東大志望の子を不合格にしてしまったことで、自身の学力不足と、大学受験の経験が欠如していることによる影響を痛感し、30歳で東大受験決意。塾講師の仕事をしながら1日3時間の勉強により33歳で合格。在学中も学習指導の仕事に携わり、現在は卒業してキャリア15年目のプロ家庭教師・塾講師を行う傍ら、ドラゴン桜noteマガジンの編集長を務める。

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