韓国がついに伝統の「犬食禁止」踏み切った事情 「伴侶動物」という考え方が伝統も変えている

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韓国の農林水産食品部は毎年「動物保護に関する国民意識調査」を実施し、結果を公開している。2018年の調査には興味深いデータがある。

2010年からのビッグデータを分析した結果、2014年を境目に「愛玩動物(ペット)」という言葉より「伴侶動物(Companion Animal)」という言葉が多く使われるようになったことがわかった。2010年492件だった伴侶動物という表現は、2018年には27倍に増加し、愛玩動物に取って代わった。

「愛玩」にはおもちゃのように遊べて、所有するものという意味合いが強い。しかし、今のペットは、飼い主が精神的に頼れる家族のような存在になっている。「人間のパートナー」だ。こうした意味で韓国では伴侶犬や伴侶猫という言葉が使われている。韓国や日本では伴侶動物と訳される。

「動物権」という概念も広がっている

1月8日に公開された「2023犬肉食に関する国民意識調査」によると93.4%が「犬肉は食べるつもりがない」と答えた。また、53.5%が犬肉を食べない理由として「心理的な抵抗」と答え、伴侶動物という認識が影響を与えていることがわかる。

さらに、韓国社会には「動物権」という概念も広がっている。2022年には「動物園及び水族館の管理に関する法律」が改定された。来園者が動物を触る、動物に乗る、餌を与えるなど動物にストレスや苦痛、恐怖を与える展示を禁止にした。イルカショーなどは韓国でみることができなくなった。

こうした認識の変化が、30年以上続いてきた犬肉食をめぐる論争に終止符を打ったのだ。

朴眞煥 報道番組ディレクター、ジャーナリスト

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パク・ジンファン / Jinhwan Park

1975年韓国ソウル生まれ。韓国漢陽大学大学院卒業後、作戦将校として空軍に入隊(元空軍大尉)。2005年来日、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程中退、専門は文化人類学。韓国における軍事文化、徴兵拒否運動、反戦平和運動について研究を続け、筑波大学研究員を経て、2016年から現職(主に朝鮮半島情勢、日韓関係を取材し執筆、メディアに出演中)。著作に「韓国社会の徴兵拒否運動からみる平和運動の現状」「異文化で自文化を研究すること語ること-非日常な軍隊経験と前後の日常」など。

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