中国新興EV「理想汽車」、新型車の発売延期の思惑 EVの競争が激化する中、ライバル牽制が狙いか

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理想汽車の初のBEVである新型ミニバン「MEGA」は、同社にとって失敗が許されない戦略商品だ(写真は同社ウェブサイトより)

中国の新興EV(電気自動車)メーカーの理想汽車(リ・オート)は、新型高級ミニバン「MEGA(メガ)」の発売を約3カ月延期することを決めた。同社が2023年12月31日付のプレスリリースで明らかにした。

理想汽車はこれまで、航続距離を延長するための発電専用エンジンを搭載したレンジエクステンダー型EVを生産・販売してきた。MEGAは同社初のバッテリーのみで走行するEV(BEV)であり、当初は2023年12月中に発売する予定だった。

プレスリリースによれば、MEGAの発売は3月1日に変更され、同月上旬から購入者への納車を開始するという。

発売と納車のタイムラグを短縮

MEGAの発売後は、理想汽車の製品はレンジエクステンダー型EVとBEVの2本立てになる。同社にとって、新たな顧客層の獲得に向けた経営戦略上の重要な節目だ。それだけに、突然の発売延期は業界関係者の驚きを誘った。その理由について、理想汽車は明言を避けている。

中国の自動車業界内では、MEGAの発売延期は「ライバルに付け入る隙を与えないため」との見方がある。理想汽車はもともと、MEGAを2023年12月に発売、2024年2月から納車開始とアナウンスしており、発売から納車まで2カ月間あいていた。しかし今回の変更では、3月1日の発売のすぐ後に納車を始めるとし、タイムラグが短縮された。

この決断にあたって、理想汽車の経営陣が意識したとみられる競合車種がある。通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と中堅自動車メーカーの賽力斯集団(セレス)が共同で立ち上げた新興ブランド「問界(AITO)」が、2023年12月26日に発売した新型高級SUV「M9」だ。

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