中国新興EV「蔚来汽車」、中東ファンドが大株主に アブダビ政府系のCYVNが3000億円超を追加投資

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CYVNの追加出資のニュースを受け、ニューヨーク証券取引所に上場する蔚来汽車のADS(アメリカ預託株式)は急騰。12月18日の終値は前営業日比4.6%高の8.35ドル(約1191円)で引けた。

蔚来汽車は中国市場でのEV販売が目標に届かず、立て直しが急務になっている。写真は安徽省合肥市のショールーム(同社ウェブサイトより)

2023年8月以降、蔚来汽車は中国市場でのEV販売が振るわず、ADSの下落率が4割を超えていた。一部の市場関係者は、CYVNの追加出資は「底値買いを狙ったもの」との見方を示す。

蔚来汽車は2023年12月5日に発表した7~9月期の決算で、45億5700万元(約912億円)の純損失を計上。同年9月末時点の現金および現金同等物、制限付きの預金、短期投資および長期定期預金の総額は452億元(約9042億円)あり、直ちに資金ショートに陥る状況ではない。

新興勢の出資受け入れ相次ぐ

とはいえ、新型車や自動運転システムの開発費用を中長期的に賄うには、とても十分とは言えない。蔚来汽車は外部(の投資家)からの出資獲得に動くとともに、2023年10月には10億ドル(約1426億円)のドル建て転換社債を発行した。

同社の直近の業績は改善傾向を見せている。7~9月期のEV事業の粗利率は11%と、直前の4~6月期より約5ポイント改善した。蔚来汽車のCFO(最高財務責任者)を務める奉瑋氏は決算説明会で、「10~12月期のEV事業の粗利率は15%を目標にしている」と述べた。

本記事は「財新」の提供記事です

中国のEV業界では、市場競争が熾烈さを増すなかで(資金調達力が弱い)新興メーカーが外国資本の出資を仰ぐケースが相次いでいる。

蔚来汽車のほかにも、2023年11月には零跑汽車(リープモーター)が、ヨーロッパ自動車大手のステランティスから約15億ユーロ(約2335億円)の出資を獲得した。また、同年7月には小鵬汽車(シャオペン)がドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)から約7億ドル(約998億円)の出資を受け入れた。

(財新記者:余聡)
※原文の配信は2023年12月19日

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