【産業天気図・建設機械】2006年度も内外で旺盛な需要拡大が続く
建設機械は旺盛な海外需要に支えられ、快進撃が続いている。このため、2006年度の天気予測としては、上期、下期ともに「快晴」と見たい。建機業界の出荷金額のカバレッジが97%ある日本建設機械工業会の予測でも、05年度の出荷金額が前年比16%増の1兆6941億円、06年度も9%増の1兆8395億円で、5年連続の増加予測になっている。
この06年度予測の内訳は、国内が05年度比で2%増、輸出が12%増。大きく伸びている背景は国内と海外で異なる。国内は90年代まで主力だった公共事業向けは減少傾向が続いているが、代わって民間設備投資が伸びているほか、中古車の海外輸出が増加したことから、新規の更新需要も拡大している。
機種としては、出荷額全体の40%を占める油圧ショベル、次いで16%のトラクタ、さらにミニショベルとなっている。一方、海外向け北米、欧州、南米、中国、アジア、豪州、中近東などほぼ全域で需要が旺盛。背景は、北米・欧州は住宅開発など都市インフラの整備需要が牽引。一方、発展途上国向けは、コマツ<6301.東証>の坂根正弘社長が指摘するように「原油価格の高騰に代表される一次産品価格の上昇が一次産品国の財政を潤沢にし、国内投資を活発にさせている」と言える。08年に北京五輪、10年に上海万博が行われる中国も当てはまる。この点は、建機需要の中でも、最近は資源開発に使われる鉱山機械の需要が急増していることでも裏付けられている。
こうした建機ブームは中国の国内開発が活発化した03年頃から顕在化したため、コマツ、日立建機<6305.東証>など主要な建機メーカーの生産能力はここへ来て需要に追いつかなくなっている。タイヤメーカーの追加投資の遅れで主要部品の大型タイヤが調達難に陥っているためだ。
現在、コマツでは07年1月稼働予定で、金沢と茨城の港湾隣接地に新工場を建設している。一方、日立建機も茨城県那珂湊で、鉱山機械のセミアセンブリ工場の用地取得を開始した。加えて「現在、注文から納入まで1年以上かかっている超大型鉱山機械(190トン以上)の生産委託先である日立製作所<6501.東証>とJFE<5411.東証>に生産能力のアップをお願いしている」(石井史郎コーポレートコミュニケーション部長)と言う。現在計画している能力アップは、年間生産台数を100台から同165台に拡大しようとするものだ。
ところで、こうした建機需要の拡大はいつまで続くのか。コマツの新工場稼働が07年という計画からしても、業界としては息の長い需要拡大を予測しているようだ。確かに世界経済の順調な拡大が続いた場合、途上国や資源国のインフラ投資も順調に伸びていくことが予想される。より絞り込むと、中国の北京五輪が開催される08年までは現在の強い需要が続くと見るのが大勢だ。
【日暮良一記者】
(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部
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