そこで広汽埃安は、車載電池のサプライチェーンにより深く関与し、自社が制御可能な領域を広げる戦略をとった。2021年11月、同社は3億3600万元(約68億円)を投じて電池セルの生産ラインを構築。電池セルから電池パックまで自社生産できる体制を整え、量産技術の習熟に努めた。
さらに2022年8月、広汽埃安は中国のリチウム最大手の贛鋒鋰業(ガンフォン・リチウム)と戦略提携を結び、電池の主要原材料の(電池メーカーや商社を経由しない)直接調達を実現した。
因湃電池科技は、こうした長期間の準備と蓄積をベースに設立された。今回竣工した工場の第1期プロジェクトの生産能力は年間6GWh(ギガワット時)。2024年から2025年にかけて生産能力を36GWhに拡大する計画で、総投資額は109億元(約2210億円)を見込む。
鉱山開発から電池リサイクルまで
広汽集団の開示情報によれば、広汽埃安などグループ傘下の完成車メーカーが2023年1月から11月の期間に販売したEVおよびPHVは合計51万台。因湃電池科技の年間供給能力は工場の拡張完了後でEV約60万台分とされ、すでに満杯に近づいている。
広汽埃安は、因湃電池科技を通じた車載電池の自社グループ向け供給にとどまらず、電池関連事業の幅をさらに広げる計画だ。
「次の段階では(電池原材料の)鉱山開発、原材料の生産、蓄電システムの開発、充電ステーションや交換式電池のビジネス、電池リサイクルなどに投資していきたい」。広汽埃安の総経理(社長に相当)を務める古恵南氏は、そう意気込みを語った。
(財新記者:戚展寧)
※原文の配信は2023年12月13日
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