JR西、赤字ローカル線「ケタ違い投資」判断の背景 城端線と氷見線の3セク転換に150億円拠出

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改善策のポイントは利便性の向上。氷見線沿線には多くの高校があり城端線沿線から通う高校生も多いが、城端線と氷見線は直通していないため、高校生をはじめとした多くの入用者に高岡駅での乗り換えで不便を強いている。さらに、「日中の運行本数が少ない」という不満も地元の間では少なくない。

そこで、JR⻄日本、沿線自治体、県は2020年1月から城端線と氷見線についてLRTなどの新交通体系に移行する検討を始めた。いきなりLRTが出てくるのは唐突感があるが、LRTは従来の鉄道よりも軌道の重量が軽く、城端線と氷見線を高岡駅で直通させるための立体交差設備の構築が容易であるほか、非電化区間を走るディーゼル車より維持費が安いといったメリットがある。しかも同じ県内には富山ライトレールという成功体験がある。

富山ライトレール
JR富山港線を引き継いでLRT化した富山ライトレール。現在は富山地方鉄道と合併し市内の路面電車と一体運営されている(編集部撮影)

「JRはいくら出せるのか」

ただ、検討の結果、LRTの車両では朝夕の高校生の通学需要をこなしきれない懸念があるほか、既存の駅施設を低床化する必要があることや電化のための設備投資の費用もネックとなった。そのためLRT化は断念し、今春から鉄道の形態を生かす方向で議論が仕切り直しとなった。国の支援制度も視野に入れながら、新型車両を導入し、運行本数増に向け設備の改良も行う。交通系ICカードも導入する。将来的には城端線と氷見線の直通運転を行うための駅の改良も実施するといった案が固まってきた。

鉄道の運営はJR西日本からあいの風とやま鉄道に変更される。改正地域公共交通活性化再生法が10月に施行されたことに伴い、鉄道事業再構築に関する国の支援制度も活用するという方針も決まった。

計画が進展する過程でJR西日本は沿線自治体から問いかけられた。「JR西さんはいくら出せるんですか、どれだけ拠出できるか示してほしい」。確かにその金額がわからないと具体的な整備内容は決まらない。

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