森永卓郎×土居丈朗「財政均衡主義」はカルトか 話題の書『ザイム真理教』めぐり論客が誌上討論

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森永卓郎氏と土居丈朗氏
[写真左]森永卓郎(もりなが・たくろう)/独協大学 経済学部 教授。1957年生まれ。東大経済学部卒業。日本専売公社を経て、三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)主席研究員。2006年独協大学教授。メディア出演多数。[写真右]土居丈朗(どい・たけろう)/慶応大学 経済学部 教授。1970年生まれ。東大大学院博士課程修了。博士(経済学)。2009年から現職。行政改革推進会議議員、全世代型社会保障構築会議委員、財政制度等審議会委員などを務める(撮影:ヒダキトモコ)
鳴動する政治。終息しない戦乱。乱高下する市況。その先にあるのは活況か、暗転か――。
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森永 『ザイム真理教』を私が執筆したのは、財務省の唱える財政均衡主義という「教義」が、国民生活の向上を阻害していること。にもかかわらず財務省は、政治家やマスコミを通じ、国債暴落や超インフレの恐怖をあおり、国民をその教義で「洗脳」していること。そんなカルトのような状況を明らかにするためだった。

光栄にも本書は今年のベストセラーとなった。

土居 国民は、税収よりも歳出が多いという帳尻の合わない状態が続く気持ち悪さを、素直に受け止めている。国民は賢いから財務省の言いなりにはならない。

「財務省が国民を洗脳」というメッセージは、国民を愚弄している。

赤字を大きくしすぎるとインフレを招く

森永 財政赤字の唯一の問題は、赤字を大きくしすぎるとインフレを招くことだ。一定額の財政赤字を出し続けても、高インフレにならない限り問題ない。

2020年度の基礎的財政収支の赤字は80兆円だったが、それでもインフレにはならなかった。私は、未来永劫年100兆円程度の赤字を出し続けても、日本の財政には何の問題もないと思う。

土居 10年代は顕著にインフレにならなかったから、あれほど財政赤字を出しても、日銀が国債を買えたので国債暴落が起きなかっただけだ。しかし今後はインフレが起きうる状況となっており、これまでと同様にはいかない。

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