現金で即買いも「中国人」が狙う東京の億ション 資金を国外に逃避させる人たちが買っている

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これとは対照的に、今年の夏中頃以降に中国が通貨安定のために支出した金額は、中央銀行のデータによると月に150億ドル程度のようだ。「混乱を示唆するものは何もない」と、アメリカ外交問題評議会の国際金融専門家ブラッド・セッツァーは言う。「圧力の規模は、2015年や2016年に比べればまだずっと小さい」

中国政府は、ホテルやオフィスタワーなど、地政学的価値の低い資産への海外投資のほとんどを禁止してきた。中国の海外投資制限策を立案した潘功勝は7月、同国の中央銀行にあたる中国人民銀行の総裁に昇進した。

香港の保険商品を求めて人々が行列

それでも、一般家庭や企業は海外送金を続けることができている。

最近のある日の午後、中国本土にある中国銀行と中国招商銀行の支店では、香港にある系列銀行よりも7%高い価格で金の延べ棒が売られていた。この価格差は、中国本土内で金に対する需要が高いことを示している。金は容易に国外へ持ち出せるためだ。

中国本土の人々が中国からお金を持ち出すために使っているもう1つの手口は、香港で開設した銀行口座に送金して、銀行預金証書に似た保険商品を購入することだ。

香港保険業監管局によると、香港を訪れる中国本土の人々に販売された新規保険契約の保険料は、パンデミックの間はほぼゼロになっていたが、今年の上半期は2019年の同時期に比べ21.3%増加したという。

先日の朝7時半。営業開始時間までまだ1時間半もあるというのに、香港の九龍半島にある中国銀行の支店には、中国本土の人々が口座を開設しようと列をなして待っていた。

香港で保険代理業を営むヴァレリウス・ルオによると、午前8時までには列があまりにも長くなったため、それより遅く来た人は、営業時間が終わるまでに列の先頭までたどり着ければラッキー、という状況だったという。

ルオの話しでは、こうした人々は貯蓄を安全に置いておける場所を探しており、一般に一家庭当たり3万〜5万ドルのアメリカドルを保険商品に投入している。その金額は、以前の数倍に増えている。「豊富な資金を持つ人々はまだ存在する。彼らは、価値を保全する投資商品を求めている」とルオは言った。

(執筆:Keith Bradsher記者、Joy Dong記者)
(C)2023 The New York Times

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