OpenAIと組む「UAE企業」米政府が危惧する理由 裏にいる中国に技術を吸い上げられている?
この取り組みに今回、新たな課題が加わった。AI、ビッグデータ、量子コンピューティング、クラウドコンピューティング、監視インフラ、ゲノム研究など、世界の最先端技術において覇権を握ろうとする中国の野心をそぐことだ。
その戦いの中心となっているのが、G42なのである。
石油に代わる収入源としてAI産業の構築に取り組んでいるUAEにとって、G42は極めて重要な企業だ。ムハマンド・ビン・ザーイドが大統領として率いる小規模ながらも強力なこの中東の国は、中国やロシアとの関係を深めてもいる。その目的の1つは、主要な軍事パートナーであり、武器供給国でもあるアメリカへの依存度を下げることにある。
G42と提携関係にあるアメリカ企業に対して、アメリカ当局が懸念を伝えたかどうかは、今のところはっきりしていない。
問題視される「ファーウェイとの関係」
世界ではほぼすべての産業分野の企業が、世界第2位の経済大国である中国とのつながりを持っている。そして、中国と商業的な関係を持つ外国企業が、中国の軍部や治安・諜報機関とつながりがあるかどうか見定めるのは簡単ではない。G42を詳細に調べようとするアメリカの努力は、その難しさを示すものといえる。
外国企業が提携する中国企業が、たとえばファーウェイのように中国政府や共産党のお気に入りの会社である場合には、それだけでアメリカ政府の警報装置が作動する。そうした企業の関係性は、AIのように民生用と軍事用のいずれにも使える先端技術に携わる企業が関与している場合には、不透明なものとなることが多い。