OpenAI電撃復帰「アルトマン」そんなにすごいのか 英雄好きシリコンバレーの困ったカルチャー

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退任のきっかけとなったのは、サンフランシスコでひき逃げ被害に遭った女性が立て続けにクルーズのロボットタクシーにひかれるという、10月に起きた悪夢のような出来事だった。事故後、カリフォルニア州でのクルーズの運行免許は停止された。

アルトマン信者が受ける報い

解任劇があった週末、アルトマンを持ち上げる声がやむことはなかったが、彼とオープンAIの元同僚たちの度を越した主張はいずれ、それなりの報いを受けることになるだろう。

AIは「経済を力強くし、多くの人々がこれまでになく豊かになるための大きな力になる」とアルトマンは2月に語った。人々はこう問いかけるに違いない。豊かになっているのは一体誰なのか、と。

チャットGPTのあるバージョンが公開される1年前まで、アルトマンはシリコンバレー以外ではほとんど無名の存在だった。彼はYコンビネーターという新興企業のインキュベーターを経営し、中程度の成功を収めた起業家だったが、そこで彼は、有望な新会社の裏には必ず混乱が潜んでいることを学んだ。「スタートアップの内部はつねにひどく壊れている」とアルトマンは語っている。

アルトマンには「暴れん坊」という評判があった。彼は2017年に自身のブログで、リベラルなサンフランシスコよりも共産主義の北京の方が物議を醸すアイデアを議論しやすいと感じた、と書いている。

ひょっとすると彼は、2015年のあるカンファレンスで「AIは世界の終わりにつながる可能性が高いが、その間に素晴らしい企業が生まれるだろう」と発言したときのことを考えていたのかもしれない。

20日、オープンAIの従業員が何百人とアルトマンの復帰を要求する書簡にサインした。17日時点ではオープンAIはシリコンバレーで最も重要な企業の1つだったが、20日の朝には従業員のほとんどが退職をちらつかせるようになっていた。アルトマンは、彼らとオープンAI、そしておそらくは全人類を救うことのできる先見性ある創業者、というわけだ。

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