北朝鮮軍事偵察衛星発射で予想される次の展開は 「南北軍事合意」の一部停止へ韓国政府は動く

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今回の発射に関して、ロシアからの協力を得られたかどうかも注目されている。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2023年9月13日に行われたロ朝首脳会談当時、金総書記に「北朝鮮の人工衛星開発を助ける」との趣旨を発言したことがある。

ロシアは発射にどこまで支援したか

その後、韓国の情報機関・国家情報院は、北朝鮮がロシアに砲弾を提供してロシアの技術諮問を受け入れたようだと明らかにし、発射の成功確率が高まる可能性があると分析していた。韓国軍も、北朝鮮の偵察衛星発射が成功すれば、ロシアの技術支援が少なからず貢献したとみている。

北朝鮮が3回目の発射を行ったことで、韓国政府はこれに対抗するという意味で、2018年に南北間で合意した「9.19南北軍事合意」の一部条項の効力を停止する手続きに入る。

韓国軍関係者は11月22日、「成功・失敗にかかわらず、発射したこと自体が脅威であり挑発だ」とし、軍事合意の効力停止に関する議論に入ることを明らかにしている。

「9.19南北軍事合意」とは、2018年9月に平壌で行われた南北首脳会談での「平壌共同宣言」の付属合意として締結された「歴史的な板門店宣言の履行のための軍事分野の合意書」を指す。

これは、偶発的な武力衝突が全面戦争へと拡大しないように、南北の境界地域の陸海空に緩衝区域を設定し、互いに敵対行為をやめる、という内容だ。

この軍事合意の効力停止は、国家安全保障会議(NSC)で外交安保当局が合意に至り、国務会議の審議・議決を経て北朝鮮に通報するといった、簡単な手続きで行える。韓国政府では、今回の発射事態が国連安全保障理事会決議に違反したものであり、深刻な軍事的脅威とみており、対応措置を行うという立場を堅持している。

とくに2018年に合意されたこの軍事合意で、南北間の偶発的な衝突を防止するため軍事境界線(MDL)を基準に飛行禁止区域を設定した条項について効力停止を宣言する可能性がありそうだ。一部では、アメリカの爆撃機や原子力空母のような戦略資産を朝鮮半島周辺で展開する可能性も議論されている。

韓国国防省のチョン・ハギュ報道官は11月21日、「衛星発射以降、NSCで議論がなされれば国務会議の手続きを経て9.19南北軍事合意の効力停止に関する内容を国民に向けて説明できるだろう」と述べている。

イギリス訪問中の尹錫悦大統領が現地で「南北関係発展法に南北が合意したどのような事項も、国家安保を含む重大事由が発生した場合、南北合意の部分、あるいは全体について効力を停止できるという条項がある」と述べ、韓国大統領室も軍事合意を中止する可能性を示唆した。

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