「迷走する司法試験」ロースクール現役学生の本音 「ローは受験資格を得るためだけのもの」

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2006年に新司法試験が始まったが、期待されていた「約7〜8割」どころか、48.3%、翌年は40.2%、その後は20〜30%台に落ち込んだ。

既修者と未修者の合格率にも歴然とした差がある。修了後、リミットである5年以内に最終的に合格する割合(司法試験累積合格率)をみても、未修者は7割に届いていない。

司法試験累積合格率(文部科学省、法務省データを参考に弁護士ドットコム作成)

勢いづく予備試験組、揺らぐ“中核”

そもそも司法制度改革審議会の意見書では、学部や大学院の教育が法曹養成の役割を果たしてきたとは言い難いこと、学生が受験予備校に依存し「ダブルスクール化」「大学離れ」の状況になっていることなどが問題点として指摘されていた。

ロースクールは法曹養成の重要な「プロセス」として位置付けられていた。

ところが、2011年に予備試験がスタートすると、その位置が揺らぎ始める。予備試験は、ロー修了者と「同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定すること」を目的とする試験だ(司法試験法5条)。

意見書には「経済的事情や既に実社会で十分な経験を積んでいるなどの理由により法科大学院を経由しない者にも、法曹資格取得のための適切な途を確保すべき」とされていた。

「予備」という名前通り、本来はローに行けない人のために取られた救済措置だったはずだった。

予備試験合格者の司法試験合格率(文部科学省、法務省のデータを参考に弁護士ドットコム作成)

しかし、予備試験組の合格率はロー組を大幅に上回り、人気が集中。レベルが上がり、合格率も上昇した。2012〜2018年度には6〜7割台だったが、2022年度には97.5%と驚異的な数字を記録。2023年度は在学中受験が始まったこともあり、微減の92.6%だった。法務省によると、これは純粋な予備試験組のみの数字で、在学中かつ予備試験通過の場合は「在学中」にカウントされるという。

2023年11月8日の合格発表会場にも、「在学中かつ予備突破組」の学生が複数いた。中央大と青山学院大から東大ローに入ったという2人は「留学のために学位が欲しいためローを修了する」「ローの学習は試験というより知的好奇心を満たすもの」などと話していた。

20年前、大きな夢の象徴として誕生したロースクールだが、度重なる制度変更を経て、「司法試験の受験資格を得る手段」以外の要素に着目する学生も出てきているようだ。

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