モーターとはエンジンを含めた「原動機」のことで、主語は「乗り物」だ。対するモビリティは「移動可能性」という意味で、「人間」が主語になる。
これならスタートアップが開発したパーソナルモビリティや、エンターテインメントも違和感なく取り込めると考えたのかもしれない。
でも、CESやSXSWと違う点もある。規模も業種も異なる出展者が同じホールの中で群雄割拠するのではなく、会場となる東京ビッグサイトの展示棟ごとに、ジャンルを分けていることだ。日本料理で言えば「鍋」ではなく「重」のようである。
東展示棟は、1~6ホールが乗用車・商用車・2輪車で、7ホールはベンチャーとモータースポーツ、8ホールはキャンピングカーという内容。西展示棟は、主催者展示のほかスタートアップやサプライヤーが入り、隣接した南展示棟はイベントスペースと子どもおよびマニア向けゾーンになっていた。
ごちゃ混ぜのほうが、何が出てくるかわからないワクワクはあるが、整理整頓を重視する日本らしいとも言える。また、日本自動車工業会(自工会)が主催するイベントであり、前回まではモーターショーを名乗っていたので、既存の出展者に配慮したのかもしれない。
メーカーの出展スタンスはさまざま
その中で東京モーターショーともっとも近い雰囲気が味わえるのは、やはり東1〜6ホールだ。近未来の提案は、あとで紹介する主催者展示に任せていることもあって、懐かしさや安心感が漂う。
ただし、新しい移動の可能性を提案している会社がある一方、クルマへのこだわりを捨てない会社もあって、メーカーによって姿勢に差があった。偶然にも、浜松にルーツを持ち2輪車も手がけるスズキ・本田技研工業・ヤマハ発動機が、JMSらしい展示だと感じた。
また商用車については、個人の嗜好より企業の姿勢が重視されることもあり、電動化への取り組みが積極的であるうえに、物流の2024年問題でドライバー不足が顕在化していることもあって、革新的なスタイリングやパッケージングが多く好感を抱いた。
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